中国の鉄道車両大手CRRC Corporation Ltd.の子会社のCRRC Electric Vehicle Co., Ltd.(CRRC EV)は、ベルギー・ブリュッセルで開催された「Busworld Europe 2025」において、2種類の新型電動バスを初公開した。
同時に、デジタル化とインテリジェンスを融合した「CRRCデジタル・インテリジェント低炭素都市交通システム・ソリューション」を発表し、新エネルギー商用車システム、クリーンエネルギー(風力・太陽光・蓄電)技術、そして業界全体をカバーするバリューチェーン領域での存在感をさらに高めた。
高付加価値な移動ニーズに応えて設計された「EU12C」高級電動バスは、800Vアーキテクチャを採用し、最大出力480kW、トルク5100N・mを発揮。30%を超える勾配にも対応する。空力性能に優れた流線型ボディと最新パワートレインにより、1回の充電で最長550kmの航続距離を実現。超高速充電にも対応し、稼働時間の最適化を図る。
「ED12」電動ダブルデッカー・バスは最大126名を収容し、ESORT基準に基づく都市走行条件下で、1回の充電あたり最大560kmの航続距離を実現する。高速鉄道の技術を応用した軽量な6000系アルミ合金ボディを採用しており、その耐用年数は20年に達する。
CRRC EVのソリューションは、都市交通のあらゆるニーズを包括的にカバーする4つのレイヤーで構成されている。
スマートクラウド・ブレイン(TOCC)では、ビッグデータ、AI、IoTを統合した集中管理プラットフォームで、都市交通のセンシング・伝送・分析・運用を一元化。精密な管理とリアルタイム意思決定を支援する。
Urban MaaS(Mobility as a Service)では、AIによるダイヤ編成の最適化、オンデマンド配車、スマート・メンテナンスを実現。都市鉄道、スマートレール、バスを幹線とし、支線やマイクロシャトルで「ラストワンマイル」をつなぐ二層構造の交通ネットワークを構築している。湖南省株洲市で実施中の実証プロジェクト「雲上バス」では、CRRC H05車両5台がオンデマンド運行を行い、定路線バスの10倍以上の月間収益を記録している。
スマート・ロジスティクスでは、公共交通と物流を統合することで、ラストマイル配送コストを50%削減し、効率を40%向上させる。
グリーン・インフラストラクチャーでは、段階的かつシナリオに応じたアップグレードを通じて、都市の主要交差点にSL3レベルの認識技術を導入。「車両-道路-クラウド」を一体化することで、自動運転やスマート交通制御、ネットワーク化サービスを実現している。
CRRCは、新エネルギー部品とクリーンエネルギー・ソリューションを統合した産業全体の技術力を活かし、持続可能な都市モビリティの実現に取り組んでいる。同社が展開する「風・太陽光・水素・車両」事業では、年間で約325億kWhのクリーン電力を創出し、4000万トンのCO2削減を達成。より環境に優しく、よりスマートな都市交通の実現に向けて、グローバル規模でのイノベーションを加速させている。