メルセデスベンツは、ドイツのシュトゥットガルト・ウンターテュルクハイム工場において、新型『CLA』向けの電動駆動ユニットとアクスルの生産・組立を開始した。
120年以上の歴史を持つこの伝統的な拠点は、メッティンゲン地区とヘーデルフィンゲン地区を含む。今回の生産開始により、同工場は多様な駆動方式に対応できる生産ポートフォリオを拡充する。生産された部品は、まず新型CLAの生産を担当するラシュタット工場に供給される。車体関連の部品はクッペンハイムから、バッテリーはカーメンツから供給される体制だ。

また、経営陣と従業員代表は新たな労使協定を締結し、ウンターテュルクハイム工場を将来のトップエンドセグメント向け駆動コンポーネントの生産拠点の一つとすることを決定した。同時に、競争力と収益性を高めるための施策にも合意。今後はバッテリー駆動の電気自動車(BEV)や電動化された内燃エンジン向けの製品・部品が同工場で生産される。これにより、ウンターテュルクハイム工場は、メルセデスベンツのグローバル生産ネットワークにおける駆動技術のコンピテンスセンターとしての役割を強化する。
新型CLAに搭載される電動駆動ユニットは、メルセデスベンツが自社開発したもので、主に電気モーター、パワーエレクトロニクス、トランスミッションの3つのサブシステムで構成される。ウンターテュルクハイム、メッティンゲン、ヘーデルフィンゲンの各地区で部品が製造され、ウンターテュルクハイム工場で最終的な組み立てが行われる。メッティンゲン地区は、電動アクスル全体の組み立てを担当し、完成品をラシュタット工場へ供給する。

電動駆動ユニットの組立ラインは、ウンターテュルクハイム工場内に約1万平方mの面積を占め、全長は約1000mに及ぶ。200以上の手動および自動化された工程で構成されており、生産には既存の従業員が教育プログラムを経て従事している。生産はメルセデスベンツのデジタル生産システム「MO360」に完全に統合されており、CO2ニュートラルで運営されている。
ウンターテュルクハイム工場は、2024年に創業120周年を迎えた研究開発の拠点でもあり、約2万3000人が勤務している。将来的には、中国市場向けのCLAは北京ベンツオートモーティブ(BBAC)が現地生産するほか、ハンガリーのケチケメート工場でもCLAファミリーの他モデルが生産される計画だ。このグローバルな生産ネットワークにより、エントリーセグメントの電動化が推進される。
