通常のオートバイと比較すれば、見るからにハードなカスタム。そのままの形で購入できるとは、到底思えない。「東京モーターサイクルショー2025」にて異彩を放っていたのが、「プロト」のブースに展示されていたカスタムハーレーだ。
きっとこうしたバイクは、カスタムビルダーにオーダーを入れたら、自分だけの1台に仕上がってくるまで、しばらくの期間を要し、出来上がるまでの時間を楽しみにしつつ待つのだろう。
しかし、一般的なオートバイと同じように、「これをください」と購入できるようにしたのが、プロト・リグニスがリリースするカスタムコンプリートだ。
アメリカ・サンフランシスコの「フリスコチョッパーズ」にて発祥したと言われる“フリスコスタイル”に仕上げられた車体は、ハーレーダビッドソンのソフテイルモデルがベースで、90年代後半のエボリューションVツインエンジンが搭載される。

現行より2世代前のパワーユニットとなるエボリューションは心地よい排気音や力強い鼓動感が魅力である一方で、生産終了から20年以上が経過し、故障やメンテナンス等、所有するにあたって不安要素が多いのも否めない。そこでプロトでは、直営店であるリグニスにてハーレー中古車をベースに各部をオーバーホール。
幅の狭いナローフォークをはじめ、トリプルツリー等フリスコスタイル専用設計のオリジナルパーツでトータルコーディネイトし、カスタムコンプリートバイクとして製作・販売している。
リグニスのスタッフ“あむ”さんによれば、プロトカスタムコンプリート「フリスコスタイル」の価格は269万5000円~(税込み)で、カラーやシートなど細部をオーダー時に自分好みのものに選ぶことができるという。

つまり、カスタムファンらが好きなシルエットの根幹を先ず手に入れ、そこから細部を仕上げていき、人とは違う愛車を手に入れることができるのだ。
「発表以来人気を博し、さまざまなカラーオーダーが入り、オーナーそれぞれが個性を演出して楽しんでいます」と、“あむ”さんは言う。また、コンディションに優れるエボリューションエンジンを心臓部にしていることも、人気の秘訣だと教えてくれた。
6か月保障で、ロードサービス付き。アフターサービスも万全を期している。
250ccカスタムにも注目集まった

フォロワー数9万人にも迫る人気インフルエンサー「ガルちゃん」が妖艶な着物姿でブースに立つと、ファンが一斉にスマホを構えて、なんとか写真に収めようとしている。
船舶一級、大型二輪免許を持ち、挑戦者/冒険家としてアクティブに活動し、熱視線を浴びるクールビューティはさまざまなメディアで活躍だ。

そんな彼女によく似合うのが、サンダーモーターサイクルズ。じつにセンスよくまとまったカスタムスタイルは、ハーレーダビッドソンのカスタムビルダーとして知られ、イベントでも数多くのアワードを獲得している車坂下(くるまざかした)モトサイクルの野呂裕二氏によるものだと分かれば納得がいく。
74スプリンガーフォークと呼ばれるオールドハーレーに由来するフロントサスペンションをセットしたオリジナルフレームに搭載されるエンジンは、排気量250ccの空冷Vツイン。今回の展示車両はリヤショックを隠し持つ「ソフテイルサンダー250」(税込み99万6000円)で、リジッドフレームモデルの「ハードテイルサンダー250」(税込み93万5000円)も展開している。

小ぶりなフューエルタンク(容量7リットル)といい、太くヴィンテージムード溢れる前後タイヤ(5.0-16)に、フェンダーとのクリアランスが極めて狭いシルエット、ソロサドルシートやテールエンドでループを描くパイプワークなど、目の肥えたファンが唸るディテールを実現。

生産は2021年に中国に立ち上げた自社工場にて行われ、品質面や工程を厳しく徹底管理。長年生産された日本製機種をルーツにしたV型2気筒エンジンは信頼性も高く、消耗品やオプションパーツは国内にて在庫している。
「ソフテイルサンダー250」と「ハードテイルサンダー250」、いずれも税込み90万円台の車両価格とし、幅広い層のライダーから受注が入ると、野呂氏は教えてくれる。
憧れのカスタムスタイルも、比較的リーズナブルで手軽に入手できることが東京モーターサイクルショー2025の展示を見ればわかってきた。これらをベースに、自分だけの1台をつくり上げていくのも楽しいだろう。