F1日本GPからレッドブルヘの昇格が決まった角田裕毅、難事も伴うが期待は高まる!

レッドブルに昇格移籍して日本GPを迎えることになった角田裕毅。
  • レッドブルに昇格移籍して日本GPを迎えることになった角田裕毅。
  • レッドブルに昇格移籍して日本GPを迎えることになった角田裕毅。
  • #1 M.フェルスタッペン/レッドブルRB21(2025年F1第2戦 中国GP)。
  • 今季、F1記録に並ぶ個人総合5連覇を狙っているマックス・フェルスタッペン(2025年F1第2戦 中国GP)。
  • リアム・ローソンとマックス・フェルスタッペン(2025年F1第2戦 中国GP)。
  • #30 L.ローソン/レッドブルRB21(2025年F1第2戦 中国GP)。
  • #22 角田裕毅/レーシングブルズVCARB02(2025年F1第2戦 中国GP)。
  • レーシングブルズの今季新人、アイザック・ハジャー(2025年F1第2戦 中国GP)。

3月27日、F1の上位チームの一角であるレッドブル(Oracle Red Bull Racing)は、4月4~6日に鈴鹿サーキットで開催される今季第3戦・日本GPから、角田裕毅をレースドライバーに起用すると発表した。角田は2021~24年のチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンの僚友となる。


◆リアム・ローソンの不振で、陣営が“席替え”を敢行

レッドブルはF1に2チーム(レッドブルとレーシングブルズ=Visa Cash App Racing Bulls F1 Team)を継続的に参戦させており、状況に応じて4人のレースドライバーの間で“席替え”を行なうことがこれまでにもあった。

今季からレッドブルに乗っている23歳のリアム・ローソンが開幕2戦で成績低迷、そこで“弟分チーム”のレーシングブルズで好走している角田裕毅(つのだ・ゆうき、24歳)との交代説が自然と浮上し、それが正式に決まった格好になる。

ローソンはレーシングブルズに戻ることとなり、今季新人のアイザック・ハジャーとコンビを組む。4月4~6日に迫る次戦、日本GP(鈴鹿サーキット)にレッドブル陣営は、レッドブルからマックス・フェルスタッペンと角田、レーシングブルズからローソンとハジャーをレースドライバーとして参戦させる。

◆レッドブルとホンダの共闘ラストイヤーに巡り来た好機

レッドブルは2019年からホンダとの共闘を開始し、2021年にフェルスタッペンが自身初のドライバーズタイトルを獲得。ホンダのエンジン/パワーユニット(PU)で走る王者は1991年のアイルトン・セナ以来30年ぶりであった。翌2022年にはチーム9年ぶりとなるコンストラクターズタイトル(チーム部門タイトル)を獲得し、2023年は連覇。フェルスタッペンは2024年までドライバーズタイトル4連覇を継続している(2024年、コンストラクターズタイトルは失冠)。

ホンダとレッドブル陣営としての関係は、2018年に現レーシングブルズ(当時のチーム名はトロロッソ)が先にホンダのPUを搭載したところが起点で、翌2019年からは上位格チームのレッドブルも追従してホンダ搭載に移行。2021年限りでホンダがホンダ名義での参戦を一旦終了したあとも、両チームは実質的に“ホンダ・パワー”でF1を戦ってきた。

ただ、来季2026年からホンダはアストンマーティン(Aston Martin Aramco F1 Team)と、レッドブル陣営はフォードとの新たな共闘関係をそれぞれ展開することとなっており、レッドブルとホンダのタッグは今季2025年が最後というかたちになっている。そうした年の日本GPで、F1参戦5年目、これまで一貫して現レーシングブルズで走ってきた角田に絶好機が巡ってきたことになる。

◆難しさも伴う昇格移籍だが、鈴鹿に向けて期待値も注目度も上昇

角田は今季ここまでの2戦、チームの戦略判断がうまくなかった影響等もあって最終的なレースリザルトに関して特筆すべきものは残っていない。しかしその内容の良さは多くの者が認めるところであり、特に第2戦・中国GPのスプリント(年間24戦中、6戦だけで実施される約100kmのショートレース)での6位は素晴らしかった。開幕戦オーストラリアGPでの予選5位も見事だった。

そうした状況だけに、今回の移籍には微妙な側面もある。レッドブルのマシンには“フェルスタッペン・スペシャル”な面があるとされ、これに悩まされた僚友ドライバーは少なくない、ともいわれる。角田のドライビングスタイルは合う、という観測もあるが、ローソンや先輩たちと同じ苦労を味わう可能性もなくはないのだ。

ましてや、今季のレッドブル(RB21)はフェルスタッペンでも2戦してまだ優勝がなく、フェルスタッペンだからなんとか上位を走れている、という評価もできなくはない戦況。一方、今季のレーシングブルズ(VCARB02)で乗れている角田だけに、マシン自体の速さはレッドブルが上でも、むしろレーシングブルズのまま鈴鹿に臨んだ方が好走できるのでは……、という見方も存在し得るところなのだ。

レッドブルが2冠を連覇した頃(2022~23年)ほどには順風満帆な時期ではないだけに、いろいろな観点はある。ただ、それでも、ここまで潜在的な期待値の高い上位チームで、現在の角田ほどF1での実戦経験がある日本人選手が日本GPを走るという状況は、もちろん見方にもよるが、初めてといっていいのではないだろうか。角田は今季中に日本勢最多出走記録を塗りかえ、100戦を超えていく見込みだ。

角田がこのチャンスを活かす快走を見せられるよう、鈴鹿を訪れるファンには一層の応援を願いたい。

未知数要素も少なくないとはいえ、今季今後の角田にはF1での自身初表彰台はもちろん、日本勢初優勝の期待さえかけられる状況になってきた(期待と応援が過度な重圧になってもいけないが)。今季のF1第3戦、日本GPは鈴鹿サーキットで4月4~6日に開催される。

《遠藤俊幸》

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