AFEELA 米国展開の現在地…従来ビジネスでは見えにくいソニー・ホンダモビリティのビジネス戦略[インタビュー]

AFEELA 米国展開の現在地…従来ビジネスでは見えにくいソニー・ホンダモビリティのビジネス戦略[インタビュー]
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メディアやネットの一部では厳しい見方もされるソニー・ホンダモビリティの「AFEELA(アフィーラ)」だが、メーカーの形態としても、見ている市場としても従来の自動車ビジネスの枠組みでは評価できない車でもある。

同社 代表取締役 会長 兼 CEOの水野泰秀氏をゲスト講師として迎え、【Season3】中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.4セミナーが開催される。2025年1月のCESでの発表を振り返りつつ、その後の動きや新しい取り組みについて議論される予定だ。水野氏からはどのような話が聞けるのか。事前にインタビューをすることができた。

---:さっそくですが、セミナーではどんなことをお話するのでしょうか。

水野氏(以下敬称略):簡単な会社紹介、自己紹介のあと、あらためて私たちの「AFEELA」について、ブランドの成り立ちや今後の戦略など、CES(2025年1月)での発表を踏まえて説明します。その上で、ソニー・ホンダモビリティ(SHM)のプロダクトやサービス、そして既存メーカーとは一線を画すビジネススタイルの話をしたいと思っています。CESの発表からは日にちも経っているので、状況のアップデートをしながら米国での事業活動についてもお話しする予定です。

---:なるほど。ビジネススタイルについては興味があります。というのは、AFEELAを始め、昨年あたりから台頭している中国のEV、SDVは、あきらかにこれまでの自動車とは違った価値観やビジネススタイルを持っているからです。

水野:はい。SHMでは、主戦場はソフトウェア領域と考えています。ソフトウェアの領域では、パーソナライズがとても重要です。AFEELAのコックピットは、ソニーIDとも連携していく予定です。ビジネスについても、これまでのバリューチェーンとは違ったものになります。たとえば、自動車メーカーはディーラーを通じた販売モデルが一般的なので、メーカーからすると直接の取引相手はディーラーであり、B2Bです。SHMはディーラービジネスにとらわれないD2Cの形を目指しています。

---:新しいビジネススタイルに関する米国での取り組みについてもお話しするそうですね。

水野:AFEELAの目指す方向性に共感いただける方に訴求する戦略なので、マスコミュニケーションよりデジタルマーケティングに力を入れています。リアルなタッチポイントとしては、西海岸から拠点を増やしていきます。すでにロサンゼルスのセンチュリーシティというショッピングモールに車両展示しています。ここでは主にコックピットまわりのUI、インキャビンエンタテインメント、立体音響などが体験できます。3月には新しい拠点をオープンします。

---:欧州でもアジアでも売り方の変化を感じます。テスラやジェネシスなどプレミアムブランドは街道沿いのディーラーではなく、都市部のショッピングモールのフロアに販売拠点やモデルルームを設置してますよね。ロスの拠点では、試乗はできますか?

水野:準備は進めていますが、もう少しお待ちいただければと思います。SHMでは、販売までのプロモーションを3つのステップで考えています。最初のステージは、いま言ったインキャビンの体験です。セカンドステージでは、テストドライブによる車両の走りや性能を体験いただきます。ただし、ここではEVとしての基本的な性能や車としての楽しさ、可能性を感じてもらうことがメインです。最後のステージで、AFEELA Intelligent Driveの新しい機能を体験できるようにします。

---:AFEELAの走りの部分についてはなかなか情報が出てこないのですが、SHMがAFEELAに求めている車両性能、走りの方向性について教えてください。どんな車を目指しているのでしょうか。

水野:車両の基本部分はホンダの技術を存分に生かすところです。方向性としては街中でも郊外でもキビキビ走る車です。プレミアムEVということで重量が2トン以上ありますが、それを感じさせないドライブフィーリングを目指します。乗り心地や質感を重視し、ワンペダル操作も回生ブレーキとフットブレーキの細かい制御、エアサスの設定にもこだわって開発を進めています。0-100km/hのような指標もあります。EVの場合、加速や出力の違いはあまり差別化ポイントになりにくいという見方もありますが、アップデートも行い、走りの部分でもお客様にご満足いただける性能を目指します。

---:モーターの定格さえ相応の出力があれば、加速性能などはECUの設定、OTA次第でいかようにもできますからね。ところで、一部ではAFEELAの次のモデルはSUVだという声もありますが、本当ですか?


《中尾真二》

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