MAHLE(マーレ)が、ドイツ・ミュンヘンで9月に開催される「IAAモビリティ2025」に出展する。電動化を促進する技術を披露する予定だ。
MAHLEは、脱炭素化に向けた戦略的アプローチとしてテクノロジーの多様性を重視している。eモビリティと持続可能なドライブシステムを組み合わせ、気候保護の強化を図る方針だ。
同社は欧州のCO2排出基準規則の早期改正を求め、持続可能な内燃エンジンおよび再生可能燃料の容認を訴えている。同社のアーンド・フランツCEOは、「気候保護や欧州自動車産業の強化、雇用維持のために法規制に技術的中立性が必要だ」と強調した。
展示予定の製品には、バッテリーEVの航続距離を延長するレンジエクステンダーシステムや、EVの熱管理を効率化するヒートポンプ一体型熱管理モジュール、エタノール対応の内燃エンジン向けコンポーネントが含まれる。
レンジエクステンダーは小型内燃エンジンと高効率の電動ジェネレーターを組み合わせ、連続定格出力85kWを実現。800Vシステム対応で、ピーク効率は97%以上に達し、省資源かつ低コスト設計だ。燃焼技術「ジェットイグニッション」やミラーサイクルなどを採用し、燃焼効率向上と排気ガス低減を図っている。
熱管理モジュールは車両の冷却・暖房を最適化し、特に冬季のEV航続距離を最大20%延長する。高効率ヒートポンプを統合し、省スペース化とコスト削減も実現。将来的には自然冷媒「R290(プロパン)」への対応も可能だ。

さらに、IAAモビリティ2025で欧州初公開となる「バイオニックラジアルファン」は、ペンギンの翼をモデルにしたファンブレード形状で騒音を60%低減し、効率を15%向上させた。AIを活用した設計により短期間で開発された革新的技術という。
MAHLEはまた、再生可能燃料対応の内燃エンジン向けコンポーネントを提供。100%エタノール燃料使用時にはCO2排出量を最大70%削減可能とし、耐摩耗性や耐腐食性を高めた設計で燃費も最大1.5%向上させている。
同社は「MAHLE 2030+」戦略のもと、電動化、持続可能な内燃エンジン、熱管理の3分野で気候保護に貢献する技術開発を進めている。厳しい経営環境の中、業務プロセスの効率化にも注力し、競争力とレジリエンスの強化を図っている。
MAHLEは世界6万8000人の従業員を擁し、135の生産拠点と11のテクノロジーセンターを世界28カ国に展開。2024年には約117億ユーロの売上を計上している。日本では50年以上事業を継続し、国内17拠点で約2600名の従業員が働いている。