F1日本グランプリでビジネスカンファレンスを開催へ---BtoBでタッチポイントを拡大

2024年、F1日本グランプリ(鈴鹿サーキット)
  • 2024年、F1日本グランプリ(鈴鹿サーキット)
  • 1962年、鈴鹿サーキット開場
  • ナイジェル・マンセル(1987年、F1イギリスGP)
  • アイルトン・セナナイジェル・マンセル(1987年、F1ブラジルGP)
  • F1 75ライブ(2月18日、ロンドン)
  • スポーツエンターテインメントとしてのF1
  • 2023年F1総収入
  • 2024年、F1ラスベガスGP

ホンダ(本田技研工業)は3月4日、F1の2025年シーズン開幕前に説明会を実施した。鈴鹿サーキットでのF1日本グランプリ継続開催に向けて、BtoBでタッチポイントを拡大するという。2025年のF1日本グランプリは鈴鹿サーキットで開催され、決勝は4月6日。


F1の総収入は2023年に32億USドルに達し、世界有数のスポーツビジネスへ成長している。ホンダの主要市場である北米での人気が拡大しつつあり、若年ファンの増加が顕著だという。TV視聴者数は年間累計15億人を超える。

◆北米でF1人気の高まり

鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランド(HML)の斎藤毅代表取締役社長は「F1は、世界最高峰の四輪レースとして地位を確立し、世界有数のエンターテインメントとして広がりをみせている」と述べる。年間延べ650万人がサーキットで観戦し、TV視聴者数は年間で累計15億人を超え、グローバルファンは7億人以上いるという(孫引き:2024 Season highlights, Global Summit, Formula 1/ Liberty Media Corporation Reports Fourth Quarter and Year End 2023 Financial Results)。

この人気の背景について、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治代表取締役社長は「2016年に米国企業のリバティメディアがF1の興行権を買収したことや、Netflixのドキュメンタリー番組による北米でのF1人気の高まりがある」と説明する。2025年シーズンのF1は全24戦中5戦が北米で開催される予定だ。渡辺社長は「北米はホンダにとっての主要市場であり、F1の活動はホンダのブランド力向上に大きな貢献ができる」と考えている。

◆F1ビジネスはグローバルで成長

リバティメディアによると2023年のF1の総収入は、前年比25%増加の32億USドルに達し、巨大なスポーツビジネスに成長した。

特に若年層ファンが拡大しており、2022年シーズンには、25歳以下の観戦者数が前年に対し21%増加し(孫引き:2024 Season highlights, Global Summit, Formula 1)、2023年にはF1公式ソーシャルメディアのフォロワー数は7000万人超となり、2018年の1850万人から大幅に増加した。ちなみにレーシングブルズの角田裕毅選手のインスタグラムフォロワー数は261万人で、日本人スポーツ選手のトップ5に入る。

HMLの斎藤社長は「世界的な人気の高まりに伴い、BtoBビジネスの側面でも、多様なパートナーが増えており、IT、金融、ファッションなど、さまざまな業界から注目が集まっている」と話す。

◆日本のF1人気と参画企業の現状

こうした海外でのF1の注目度の高まりもあり、F1日本グランプリの海外からの来場者は、2019年では全来場者の9%にあたる1万0500人だったが、2024年は22%にあたる5万人となった。海外からの来場者も含め、2024年の日本グランプリの全来場者数は22万9000人となり、観客動員は着実に増えている。

しかしながら、F1シリーズ全体のグランプリ来場者の平均年齢が37歳であることに対し、国内来場者の平均年齢は48歳となっており、日本グランプリの来場者は1980年代後半から1990年代初頭のF1ブームを体験した世代が中心となっているようだ。

HMLの斎藤社長は「日本では、F1は過去に流行したもの、という印象だが、実はグローバルでは今でも成長している。グローバルではさまざまな業界からF1に関わる企業が増えているが、日本企業が関わる事例は限りなく少ない」と状況を説明する。

◆日本のF1ビジネスの可能性

しかしHMLの斎藤社長は「約30年前のF1ブームの時代とは、個人の価値観や社会環境も大きく変わっており、世界最高峰のエンターテインメントに成長したF1は、新たなファンを惹きつけることができるのではないか」と考える。

そして「日本企業が経営戦略として、世界的なマーケティングやホスピタリティ、ビジネスマッチングを目的に、F1日本グランプリを活用することも可能だ」と述べる。ホンダは、鈴鹿サーキットがF1グランプリを継続して開催していくために、日本の企業とともに、F1の魅力や価値を最大化させ、次世代につながる取り組みを加速させていきたいと考えている。


《高木啓》

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