来たる3月18日、オンラインセミナー「トランプ政権Season 2 Episode 1:自動車業界への圧力」が開催される。セミナーに登壇するのは、スクラムベンチャーズグループ(スクラムスタジオ)プログラムマネージャーの島田弓芙子氏。
今回のセミナーは以下のテーマで進められる。
1. バイデン前大統領での自動車関連政策:これまでの振り返り
2. 第二次トランプ政権発足を受けた政策の展望(気候変動・環境・経済他)
3. EV・クリーンエネルギーの現在およびモビリティ領域におけるイノベーションへの示唆
(電動化、AI、自動運転他)
4. グローバル自動車メーカーへの影響
講演の後には、本セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表の鈴木万治氏を交えて、参加者からの質疑応答やディスカッションの時間が用意されている。
セミナーの見どころを島田氏に聞いた。
EV施策は州ごとの差が大きい
バイデン政権下では、民主党の基本的なスタンスとしてクリーンエネルギーの推進が掲げられ、多くのEV関連施策が打ち出された。具体的には、EVの充電インフラ整備、電池生産支援、そしてインフレ抑制法(IRA)による大規模な補助金制度が特徴的だろう。

スクラムベンチャーズグループ(スクラムスタジオ)プログラムマネージャーの島田弓芙子氏は、このような国の政策とは別に、州ごとにEVに対する温度差があることを指摘する。
「アメリカは連邦制度を採用しているため、州ごとに政策の温度差があります。例えば、カリフォルニア州はEV推進に積極的ですが、ウェストバージニア州のような共和党が強い州ではEVの普及が進んでいません」

一方、第二次トランプ政権においては、EV政策の方向性が大きく変わることになる。
「トランプ氏はすでにパリ協定を離脱し、化石燃料増産を打ち出しています。また、自動車にかかる排ガス規制緩和を迅速に実施した経緯もあります」
「このような政策の背景を考えるときに重要なのは、これが共和党の基本的な方針なのか、それともトランプ氏の個人的な思惑に基づくものなのかという点です。共和党の基本的な立場として、気候変動問題に懐疑的な姿勢をとる議員が多いのは確かです。しかし、彼らが重視するのは雇用と『アメリカ・ファースト』の精神であり、産業政策と一致する部分もあります」
さらに、トランプ氏の政策にはビジネスマン的な交渉戦略が見え隠れするという。
「例えば関税政策についても、トランプ氏の手法は『脅して妥協させる』というものです。彼はビジネス交渉の延長線上で政治を進めており、時には過激な手段を取ることもあります。しかし、最終的には一定の妥協点を見つけるケースも多いです」
では、共和党の政策はEV業界にとってマイナスなのだろうか。島田氏は慎重な見方を示す。