カタログの訴求色にもなっている「グレープイエロー」はまさしく元気を与えてくれるシトラスカラーで、試乗中、飼い主(筆者)ともどもシュン(柴犬・オス・この2月で3歳になる)も、心なしか朗らかな表情で乗っていた。
試乗車の「R-Line」は、専用のエクステリア&インテリアが与えられ、決して大袈裟ではないがシャープで小気味いい印象。ホイールも表面の仕上げこそ時流に乗った切削と艶アリ黒(広報車返却時の洗車の際、どれだけ拭き上げに苦労することか!)だが、渦巻き風ではないシンプルなデザインがよく、足元を軽快に見せている。
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インテリアではシート表皮が専用で、座ってしまえば自分では見えないが、背の部分に“R”のロゴがワンポイントで入る。太過ぎず握りやすい断面形状のステアリングホイール、インパネ表面の質感、触感を大事にした仕上げなどの満足度も高い。装備面ではシートヒーターが嬉しく、カーナビ関係の操作ロジックがもう少しわかりやすいとありがたい。
居住スペースは人にも中型犬にも“ちょうどよさ”が魅力で、我が家のシュンもこの広さが落ち着くらしい。ラゲッジスペースのワンタッチで床面の高さが変えられる仕掛けは、いつ利用しても秀逸。リヤゲートは(調整可能かどうか)フルオープン時の高さをあと少しだけ下げてもらえるとありがたい。
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装着タイヤはピレリ・チントゥラートP7の215/45R18サイズだが、思っていたより足はバタつかず、むしろ常にシッカリと接地感を確保しながら、スムースな乗り心地を作ってくれる。クルマの煽られ感が小さいのも特徴で、我が家の乗り心地・NVH評価担当のシュンの乗車中の表情も上々だった。ステアリングは切る/戻すのレスポンスやスムースさ、手応えが適切で、心地いい操舵感が実感できる。
999ccの3気筒DOHCインタークーラーターボと7速DSGの組み合わせによる走りは爽快なもので、シフトスケジュールには学習機能が入っているのか、乗っているうちに街中の加速でもシュッシュッと思い通りのシフトアップを見せてくれた。
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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。