アイシンの駆動用モーターはエネルギー損失をほぼ半減…人とくるまのテクノロジー展2023

アイシン(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • アイシン(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • 2025年までに電動化製品で電費向上15%以上を目指し、合わせて生産面では2035年までに生産カーボンニュートラルの実現の目指す
  • さらなる電費向上を目指す上で駆動系の重要度を増していくのが「eAxle」で、アイシンはデンソーと共に「BLUE NEXUS」を開発する
  • アイシン(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • 燃費/電費の向上とブレーキングの心地よさを実現するため、車両減速時の高い回生効率で電費・航続距離改善に貢献。写真は第7世代
  • アイシン(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • 電磁鋼板をナノ結晶軟磁性合金「NANOMET」に置き換えた駆動用モーター。エネルギー損失を約半減できる
  • 電磁鋼板をナノ結晶軟磁性合金「NANOMET」に置き換えた駆動用モーター。エネルギー損失を約半減できる

アイシンは5月24日から5月26日までパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催されている「人とくるまのテクノロジー展2023」に出展し、精神面と生産面でカーボンニュートラルの実現を目指すことを目的に「電動化」や「安心・快適・利便」な移動を支える製品を展示した。

アイシンはまず製品面での取り組みとして、2025年までに電動化製品で電費向上15%以上を目指す。まず、電動ユニットでは、2019年にデンソーと共同で設立した「BLUE NEXUS」によって開発された小型・高効率な機電一体型『eAxle』により電費の10%向上を実現。熱マネジメントでは冷却モジュールの体積を35%小型化することで電費向上に貢献し、回生協調ブレーキや電動パーキングブレーキの採用で2%以上の電費向上を目指す。さらに空力デバイスでも4%の電費向上を図り、トータル15%の電費向上を目指すのだ。

生産面での取り組みでは2035年までに生産面でのカーボンニュートラルの実現を目標とする。具体的には超eco設備の開発・導入による生産プロセスの革新により、生産ラインを1/2まで短縮し、水素反応でメタン生成することで、排ガスからCO2を分離・回収することを目指す。さらに炭酸カルシウム生成技術を活用して排出されたCO2の利活用は産業副産物の再資源化が可能となり、それは結果としてCO2利活用にもつながる。また、太陽電池には軽く・薄く・曲げられる特徴を持つ次世代の「ペロブスカイト」を開発中だ。

そうした取り組みの中で注目すべき出展が、アイシンが2022年に資本参加した東北マグネットインスティテュート(TMI)と連携して開発中の「高効率モーターに関する技術」だ。ポイントはモーターコアの素材に従来使われていた電磁鋼板を、TMIが独占的に販売するナノ結晶軟磁性合金「NANOMET」に置き換えることで、駆動用モーターのエネルギー損失を約半減できることにある。


《会田肇》

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