豊田会長がタイでも謝罪、ダイハツ不正は「顧客の信頼を裏切る行為」[新聞ウォッチ]

トヨタ自動車の豊田社長(5月8日)
  • トヨタ自動車の豊田社長(5月8日)
  • トヨタ自動車の記者会見(5月8日)
  • トヨタ・ヤリスエイティブ。ダイハツが開発、トヨタがタイで販売
  • 燃料電池トラック

トヨタ自動車の完全子会社、ダイハツ工業で発覚した試験認証手続きの不正問題について、トヨタの豊田章男会長が、タイのバンコクでも記者会見を行い、「顧客の信頼を裏切る絶対に起きてはいけない行為。地道な努力以外に信頼回復の道はない」などと述べて、改めて謝罪したという。

また、豊田会長は「トヨタグループ全体の問題として先頭に立って信頼回復に努める」との考えも示したそうで、きょうの日経なども「トヨタ、ダイハツ不正で会見、会長『グループ全体の問題』」などと取り上げている。

子会社のダイハツで発覚した衝突試験の手続きに関する不正問題について、緊急記者会見を開いて発表したのは、大型連休に入る前日(4月28日)夕刻のことだった。各紙も翌日の朝刊にはそれなりに報じていたが、翌々日にも続報した日経を除くと、連休中のこともあってか、その関連記事はほとんど見当たらなかった。

それでも、朝日が連休後半の5月6日の社説で「問われるトヨタの統治」というテーマで掲載。その中で「トヨタ自動車の子会社や関連会社で、品質をめぐる不正が相次いでいる。日本の製造業全体への信頼も揺るがしかねない事態だ。巨大化したグループの統治は十全だったのか。経営陣に慢心はなかったか。自ら厳しく問い直す必要がある」と指摘した。

加えて、2009~10年に起こした米国での大規模リコール問題で危機を招いたことにもふれて「社長就任直後だった豊田氏が『問題から逃げたり、気づかないふりをしたりすることはない』と米国の公聴会で誓ったはずだ」としながら、社説の最後には「その後の10年余で、グループ内で何が起きていたかを明らかにし、徹底的にうみを出しきれるのか。今春社長に就任した佐藤氏の力量が問われている」とも苦言を呈している。

バンコク市内での会見で豊田会長は「真因を究明し、再発防止に取り組むのがトヨタの創業以来の精神だ」と述べるとともに「現場で何が起きているのか、確認する時間を頂きたい」と理解を求めたという。関係諸国への謝罪の行脚も重要なことだが、顧客が最も知りたいのは、現場ばかりではなく経営体制を含めて「何が起きているのか」ということではないだろうか。

トヨタ自動車の記者会見(5月8日)トヨタ自動車の記者会見(5月8日)

2023年5月9日付

●EV電池生産20倍へ、日本勢大手、6か国に新工場(読売・1面)

●ダイハツ不正謝罪、トヨタ会長、タイで(読売・9面)

●コロナ5類新たな日常、仕切り撤去、宴会場を再開、脱マスクじわり(朝日・1面)

●GWコロナ前水準、JR利用者・高速交通量(朝日・24面)

●公共交通満足度東京3位、英メディア調査、1位はベルリン(産経・10面)

●トヨタ、4月の中国販売46%増(東京・7面)

●EV電池CO2排出開示、車体購入補助の要件追加、経産省(日経・1面)

●車供給網サイバー対策、NTT、中小需要に先手、費用半分(日経・1面)

●水素トラック試乗会、経産省など、脱炭素・低騒音訴え(日経・5面)

《福田俊之》

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