日本RV協会発行の「キャンピングカー白書2023」によれば、キャンピングカーの購入価格は600万円以上が増加。そんな中で、現金購入者の割合が65%と非常に高い。これはどのような事情なのか、白書やキャンピングカーの商談会の現場の様子から考察する。
さて、キャンピングカーの保有台数は年々5000~8000台のペースで増えており、2022年現在でおよそ14万5000台。10年前に比べて2倍と伸びている。
◆購入金額は400万円~500万円台が最多も、高価格帯が増加
キャンピングカーの購入価格については、白書によると、400万円~500万円台が24%、600万円~700万円台が22%、800万円~900万円台が19%、1000万円~1500万円台と200万円~300万円台が15%となっている。400万円~500万円台の1位は変わらないが、その割合は2.2ポイント減少し、1000万円~1500万円台が1.8ポイント上昇。600万円以上のモデルの割合が全体的に増えている。
この原因は、材料費や輸送コスト増加などによる、車両やパーツの高騰はもちろんだが、キャンピングカーへ高い機能性を求める層が増えてきたことも影響している。
実際、2022年から今年にかけてのキャンピングカーショーを見ると、大型のバッテリーを搭載し、電子レンジや大型冷蔵庫、家庭用エアコンなどを装備したモデルが充実。一方で、トランスポーターのようなシンプルな車中泊モデルはめっきり数を減らした。
比較的小さなボディのモデルでも「家庭エアコン搭載」をセールスポイントにしているモデルが目立ち、来場者からも「エアコンは必須」という声が大きくなっている。
また、昨秋には新型トヨタ「カムロード」をベースとしたキャブコンが話題を集め、今年の初めは正規輸入のフィアット「デュカト」をベースとしたキャンピングカーが注目の的に。このように、大型のモデルがトレンドの中心となっていることも少なからず影響しているとみられる。
購入者に目を移すと、現金購入の割合の65%という数字が目を引く。購入層を見ると、年収1000万円台の世帯が25.1%と最も多いが、2位は400万円未満の世帯でその割合は20.5%だ。
◆リタイア後の購入増加、超長期ローンも登場
職業を見ると1位の会社員の37.9%に次ぐのは無職の22.4%。会社員は昨年よりも2.8ポイント減少、無職は1.5ポイント増加している。購入者の世代調査では60歳代以上51.8%になっており、リタイア後のユーザーが増加していることが分かる。これが現金払いでの購入が多い背景だ。
一方で、ローン購入についても、昨年大きな変化があった。JRVA特別オートローンが始まり、業界初の最長240回払いが可能になったのだ。従来のカーローンは一般的には84回が最長。より長期のローンが組めるようになったことで、若い世代、あるいは高価格帯のキャンピングカーを欲しいという人にも利用しやすくなった。
ローン利用者の割合は白書によると、1.6ポイント増加の35%。白書は新規購入者だけでなく、既存ユーザーも調査対象としているため、現状は、より増えている可能性も十分に考えられる。