ハイエースやエブリイなどのエアロパーツをはじめ自社開発&製造のパーツ類を積極展開するギブソン。東京オートサロン2023ではエブリイの新作キットパーツやニューホイールをデビューさせた。
ハイエースのエアロパーツで抜きんでたセンスと高いクオリティを見せつけて一躍シーンをけん引するパーツメーカーになったギブソン。ハイエースにDTMイメージのスポーツテイストを注入したエアロキットであるグラファム・グレンに代表される、スポーツテイストのカスタムアレンジを得意とし、独自のセンスでクオリティの高い製品群をリリースするメーカーだ。
70年代のアメリカンマッスルカーの雰囲気をエブリーに注入!【エブリイSS】

そんなギブソンが東京オートサロン2023でお披露目した最新モデルが「エブリイSS」。1969年式のシボレー・カマロをモチーフにしたフェイスキットであり、大きく盛り上げるセンターバルジや丸目のヘッドライトなどを用いてカマロフェイスをエブリイで再現したキットだ。エブリイのわずかなフロントセクションを巧みに活用してカマロのイメージを再現しているのがデザインの妙だ。昨年は「エブリイMAX」としてひとあし早くアゲ系のフェイスキットとしてデビューしているが、今年は「エブリイSS」をロワード系の本命モデルとして満を持して投入した。

ボンネット、グリルまわりはエブリイMAXを踏襲しているが、フェンダーやバンパー、チンスポイラーはエブリイSS専用の新作パーツ。これらのデザイン制作を行う上でこだわったのがデジタル化によるデザイン設計だった。エブリイMAXをスキャンしてデジタルデータ化し、その上でCGを駆使したデザイン制作を導入したのだ。エアロ開発では実績のある同社だが、より高精度な製品開発を目指して新たな取り組みとして導入したのがこの手法。PC上でデザインを変更し、そのスタイリングを確認しつつ開発が進められるのが大きなメリットだ。代表の小西さんにデジタルデータを用いたデザイン制作の長所についてうかがった。

「従来は手作業でデザインを作っていったんですが、高いスピード感やその都度完成イメージが確認できることがデジタルのメリットです。思った通りのデザイン変更も可能で、見て変更して確認するという作業が何度でもスピーディに行えるのが良いところです。また完成形が想像しやすいのもCGの良いところですね。実際にエブリイSSが造形として上がってきたときには画面で見ていたCGのイメージの通りでした。細部にこだわったパーツ設計にはデジタル化は非常に有効だと感じています」

ブースに展示されたエブリイSSのこだわりのポイントを順に紹介していくこととしよう。見どころとなるのはフェイスのセンター部にボンネットからグリル、バンパーへとつながるラインだ。両サイドからセンター部に向かって前に出る立体形状を描いているのだが、エブリイの短いボンネットでは立体感を出すのは非常に困難。しかしよく見るとバンパーの中央部はクッキリと前に出るプレスが見える。

これはバンパー両サイド(フェンダー脇)部分をわずかに後方に引くことで、バンパー中央に向けた角度を付けることに成功し相対的に立体感を出しているのだ。盛り上がるボンネットのバルジ、グリル両サイドの脇を前に出す構造など“立体デザイン”にこだわったギブソンの開発陣の思いが見える造形のひとつだ。

さらにバンパー下部のエプロン部分には複数のダクトを設ける。ここはシボレー・カマロと双璧をなすマッスルカーの雄であるダッジ・チャレンジャーをオマージュした開口処理を実施。リップ部へとつながるエプロンを単調な平面にしない工夫となった。ナンバー両脇にも立体形状のエアスクープを設けるなど、開口部を適材適所にレイアウトすることで変化を付ける手法もお見事だ。
そしてもうひとつの見どころとなったのはチンスポイラーだ。日本では街道レーサーのイメージがあるものの、エブリイSSのデザインのルーツはあくまでも70年代のアメリカンマッスルカー。当時のアメリカではストックカーレースでエアダム形状のチンスポイラーがもてはやされた。そのスタイリングをエブリイで再現したのがこのパーツ。ビス留めで無骨なデザインに仕上げているのも雰囲気。しっかり下方向に伸びるフォルムにもこだわる。今後はカーボン仕様の開発も準備しているのでチンスポのチョイスで個性化を果たすことも可能になりそうなので要注目だ。
新ホイール「カミュラ」とDTM風のエアロキット「グラファム・グレン」に注目

ギブソンブースのもうひとつの注目アイテムが新作ホイールだ。DTMイメージのエアロキットであるグラファム・グレンをまとったデモカーに装着されていたのが注目の新作ホイール。同社は「カミュラ」と呼ばれるオリジナルホイールシリーズを用意するが、今回新たに登場したのは同シリーズの2ピースモデル。

開発のきっかけはハイエースのオーバーフェンダースタイルに合うホイールが見当たらなかったため。想定サイズはハイエースに25mmのオーバーフェンダーを取り付けることで、18インチ9.0J IN25がフィットする。ロングヒンジが不要なギリギリのサイズでユーザーにも優しい設定で、オーバーフェンダーのスタイルをより身近にするマッチングになりそう(ギブソンでは対応オーバーフェンダーを開発中で春頃にはリリースされる予定なのでこうご期待)。もちろん2ピースモデルなのでインセットの設定もかなり自由度が高い、好みの足まわりセッティングをミリ単位で出すには絶好のセレクトになる。また18インチ7.0Jから19インチ12.5Jまでのラインアップを幅広く用意するので、純正に近いシンプルスタイルから超ド級のカスタムにまで対応可能だ。2ピースとしては比較的手頃な価格帯にも注目。

ホイールは2ピースならではのボルトを生かしたデザインを採用、カミュラらしいスマートな7本スポークのデザインはどんなカスタムにフィットする。キャンディーレッドやブロンズ、ハイパーブラックなどカラーリングのチョイス幅も広い。加えてリムにもバフアルマイトの他にもカットアルマイトやブロンズアルマイト、ブラックアルマイトも選べるのも魅力だ。足もとをオリジナルテイストでコーディネートするには絶好の2ピースホイールの登場となった。
ハイエース、エブリイのカスタムメイクを狙っているなら見逃せないブランドとなっているギブソン。他にはない新作パーツの投入でますますブランドメージをアップさせた。あらためて1BOX(箱車)のロワードスタイルを追求するなら、新しいギブソンのパーツ群を取り入れるのは絶好のチョイスになりそうだ。
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