ホンダ、レッドブルF1への支援を2025年まで延長---最前線の現場を公開

2025年までF1パワーユニット技術支援の延長を決定したHRC
  • 2025年までF1パワーユニット技術支援の延長を決定したHRC
  • HRC渡辺康治代表取締役社長
  • Sakura Mission Room
  • F1パワーユニットのメンテナンス作業
  • Real Vehicle (RV) ベンチ
  • DILシミュレーター
  • 風洞設備に使用されている超大型ファン
  • 実物のレーシングカーでテストができる風洞設備

ホンダのレース活動を担っている株式会社ホンダ・レーシング(HRC)は、F1世界選手権で活躍するオラクル・レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリにパワーユニットを供給するレッドブルパワートレインズへの技術支援を、2025年まで延長することを発表した。

昨年まではホンダが先述の2チームに対してパワーユニットを供給してきたが、ホンダが関係スタッフたちのリソースをカーボンニュートラル実現に向けた活動にシフトさせていくことを発表し、それまでの体制は2021シーズンをもって終了することになった。

しかし、レッドブル・グループからのホンダへの要請に基づき、技術的な支援は継続。そこをHRCが担っているが、来年以降についても、レッドブル側から引き続き支援の要請があったとのこと。すでに昨年までF1のパワーユニット開発に携わって多くのスタッフは、別の部署に行っているのだが、現行のレギュレーションでは新規のパワーユニット開発ができないため、現在のHRCのリソースで対応可能と判断し、2025年まで現在と同じ支援体制が継続されることとなった。具体的には今年と変わらず、パワーユニットの部品調達と組み立て、テストをHRCが行い、レース期間中はサーキットとHRC Sakuraが密に連携をとって、パワーユニットの稼働状況を監視し、データをフィードバックしていくという。

HRCの渡辺康治代表取締役社長は「現行のレギュレーション下では、2025年シーズンまでのPUを開発するためのリソースは不要ですので、現在のHRCの体制でもそのリクエストに応えられると判断しました。四輪モータースポーツの世界最高峰カテゴリーにおけるレッドブル・グループのチャレンジをサポートするこの機会を通じて、HRCの人と技術を一層磨き上げてまいります」と意気込みを披露。レッドブルパワートレインズCEOであり、F1のオラクル・レッドブル・レーシングでチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナー氏も「レッドブル・グループとHondaのパートナーシップは、ここまで多くの成功を収めてきました。現行のパワーユニットレギュレーションが終了する2025年シーズンまで彼らと一緒に戦えることを、非常にうれしく思っています」と、プレスリリースでコメントを発表した。

また、この日は栃木県さくら市にあるHRC Sakuraを利用してメディア取材会も実施され、実車でテストができる風洞設備や、エンジンのテストベンチ、さらにパワーユニットの組立現場や、F1のレース開催時には、リアルタイムでデータ解析を行うミッションルームなどが公開された。特にミッションルームやテストベンチのエリアでは、実際にF1の技術支援に携わっているスタッフが過去の事例なども交えながら、担当している業務内容などを説明してくれてた。

今年、創立40周年を迎えるHRCは、F1パワーユニットに関する技術支援のみならず、モータースポーツ活動を通したホンダブランドのさらなる高揚や、持続可能なモータースポーツを目指したカーボンニュートラルへの対応、モータースポーツのすそ野を広げる取り組みや、二輪・四輪事業により貢献できる活動を目指している。特にカーボンニュートラルに関しては、レースを実証実験の場として活用し、実用性の向上や小型・高出力・高効率なモーター、バッテリーの研究開発にも力を入れていくという。

HRCの渡辺社長は「レースは短期間で人と技術を磨く究極の方法です。限られた時間と厳格なレギュレーションの中で知恵を絞り、本気で勝ちを目指す、これがホンダのチャレンジの象徴であり、レースを続けていく一番の理由です。挑戦し達成した成功体験を持つ人たちが、その“挑戦のDNA”をレースのみならず、ホンダの様々な領域で浸透させることで、世の中で求めるものを生み出していけると確信しています」と、F1パワーユニットの技術支援のみならず、様々なモータースポーツシーンで、挑戦し続けていく姿勢を明らかにしていた。

なお、HRCは今週末に行われるSUPER GT第4戦、鈴鹿8時間耐久ロードレースを皮切りに、HRCの40周年記念ロゴを展開していくとのことだ。


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《吉田 知弘》

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