長崎の観光型MaaSアプリ「STLOCAL」、スターティングセレモニーを開催

観光型MaaSアプリ「STLOCAL」のスターティングセレモニーを祝う点灯式では長崎港の夜空に花火が打ち上げられた
  • 観光型MaaSアプリ「STLOCAL」のスターティングセレモニーを祝う点灯式では長崎港の夜空に花火が打ち上げられた
  • 観光型MaaSアプリ「STLOCAL」はiOS、Androidいずれにも対応している
  • 移動の中心となる路面電車の乗車券もアプリ上で事前に買える
  • アプリでのチケットは最大6枚まで買える
  • 窓口では購入した電子チケットを見せるだけ
  • 訪れた孔子廟と、入場券となる電子チケット
  • 移動して貯めたポイントは、ゼンリンのオリジナルグッズと交換できる
  • ゼンリンの高山善司社長

地図大手のゼンリンは3月23日、観光型MaaSアプリ「STLOCAL(ストローカル)」の提供を記念したスターティングセレモニーを長崎市内で開催した。同社は3月16日より本アプリを長崎市エリアを対象に提供済みで、9月末まで実証実験として展開し、それ以降、本サービスに移行する予定にしている。

◆観光型MaaSアプリ「STLOCAL」とは?

観光型MaaSアプリ「STLOCAL」の主な機能は、「旅の計画」「デジタルチケット」「スタンプラリー」「ポイント交換」「旅の記録」などを一つのアプリ上で完結できるというもの。行動した記録や購買情報をもとに移動の見える化を地図上で展開し、さらにその行動を分析して個人に合わせた最適な情報をレコメンドすることが可能となる。

「STLOCAL」とは、英語の「Stroll=巡る」や「Street=通り」「Station=駅」「Stay=泊まる」などの頭文字「St」と「Local=地域」を合わせた造語。これらをつなぎ合わせることで地域が持つ地形や歴史、文化情報を「Story=物語」としてサービスを提供することをコンセプトにしている。

具体的には、スマホにインストールしたSTLOCALのアプリを使い、エリアごとに行きたいところを選ぶと自動的に周遊コースが設定され、その間で必要な公共交通機関の乗車券や、施設の入場券などを電子チケットとして事前に購入しておくことができる。これによって、キャッシュレスで観光しながら周遊できるようになるのだ。

ウェブサイトは市内を15エリアに分けており、地元ならではの目線で取材した定番スポットや隠れた名所を紹介している。実際にセレモニーの前にグラバー亭や孔子廟などを路面電車で周遊してみたが、あらかじめ購入したチケットですべて賄えた。アプリの認知度がまだ進んでいないこの日は、施設の窓口で担当者が戸惑うこともあったが、内容を理解するとすぐに入場させてもらえた。

また、移動に伴ってポイントも貯まっていき、ポイント数に応じてゼンリンのオリジナルグッズとの交換できるのもSTLOCALならではの魅力の一つとなっている。

観光型MaaSアプリ「STLOCAL」の利用料は無料。まずは9月までの実証実験で得られた検証結果をもとに改良を加え、本サービスへ移行していくことにしている。また、ゼンリンとしては、利用者がSTLOCALを通して購入した電子チケットの売上から手数料を徴収し、利用データなどを匿名の形で外販していくことで、新たなビジネスモデルとして発展させていく考えだ。

◆「STLOCAL」が「長崎創生プロジェクト事業」に認定

この日のセレモニーは長崎港松が枝国際ターミナルで23日午後6時より開催され、約100人が出席。セレモニーには主催者であるゼンリンの高山善司社長をはじめ、来賓として長崎市の田上富久市長、長崎国際観光コンベンション協会の村木昭一郎会長、長崎県文化観光国際部の中謙司部長が挨拶に立った。

高山社長は、「長崎市は観光資源が多い街。それらをつないで一つのStoryとすることはできないかと考え、それがSTLOCALを開発するきっかけとなった。ここ長崎から全国へ向けて発信できる一番いい仕組みを皆様と共に作っていきたい」と今後の展開へ向けて意気込みを語った。

続いて来賓として登壇した田上市長は、「観光のあり方が進化していく中で、それをサポートしてくれるアプリが登場した。私たちもそれを一所懸命、水をやりながら大事に大事に育てていければと思う」と挨拶。村木会長は、9月23日に開通する西九州新幹線と絡めて「長崎を訪れた方々がコンパクト長崎という街で楽しく、便利に過ごしていただけることを心から望んでいる」と話した。

長崎県での視点として中崎部長(※)は、「今、旅行のスタイルが団体から個への移行が加速している中で、先端技術と地元の人ならではの発信を組み合わせたSTLOCALは時代に合ったコンテンツだと考えている。長崎市だけでなく高山社長の出身地でもある佐世保市や、県内にある多くある離島においても本アプリの提供を検討していると聞いている。今後の広がりに期待している」と述べた。※崎は旁の上が立。

また、長崎市は「STLOCAL」を「長崎創生プロジェクト事業」第71号に認定し、田上市長からゼンリンの高山社長に認定書が手渡された。この後、稲佐山の頂上にある電波塔を「STLOCAL」のイメージカラーである緑色にライトアップする点灯式を開催。同時に長崎港の夜空に花火が約10分間にわたって打ち上げられ、STLOCALの提供を祝った。

《会田肇》

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