“いきなり”と言えば、ステーキのチェーン店はよく知られているが、春闘での労使交渉で,経営トップがいきなり“満額回答”を示すケースはあまり聞いたことがない。
トヨタ自動車の豊田章男社長が、2022年春闘の第1回の労使交渉で、組合側の賃上げ、年間一時金の要求に対し、満額回答で応える考えを表明したそうだ。きょうの読売が総合面のトップ記事で「トヨタ満額回答へ、社長、異例の表明」などと大きく報じたほか、日経なども取り上げている。
記事によると、豊田社長は交渉で、「賃金、賞与について、会社と組合の間に認識の相違はないことを、このタイミングではっきり伝えたい」と述べたという。さらに、「この発言で550万人の自動車に関わるすべての働く仲間たちによい風が吹くことを期待したい」と波及効果にも言及したそうだ。
読売は「『成長と分配』を掲げる岸田首相が、業績が回復した企業に積極的な賃上げを求めていることに、いち早く応える狙いがある」とも伝えている。だが、トヨタ労組は全組合員平均を基準として要求する方式をやめ、職種と職位に応じた12種類(1600~4900円)の賃上げと年間一時金6.9カ月の要求を提出したが、基本給を底上げするベースアップ要求の有無は非公表としており、複雑で他の企業には分かりにくい。そんな中で半導体不足や原材料高でも、円安の追い風などでトヨタの業績は絶好調。トヨタのように初の労使交渉で、いきなり満額回答を示せる企業はそれほど多くはないかも……。
2022年2月24日付
●トヨタ満額回答へ、第一回交渉、社長、異例の表明(読売・2面)
●NY株一時700ドル超安、市場動揺4日連続下げ(読売・11面)
●Go To 7200億円未執行、再開めど立たず国庫返納も(毎日・2面)
●大型車タイヤ脱落急増、大半が左後輪、規格変更が影響? 20年度131件11年度の12倍(毎日・22面)
●上野動物園モノレール新装案 新ルートパンダにも配慮(東京・1面)
●Opinion 複利の成長めざすソニー(日経・8面)