【ジープ グランドチェロキー 新型試乗】まさに威風堂々、高級SUVの世界にようこそ…中村孝仁

まさに威風堂々、初の3列シートとして登場

先代とは大きく異なる高級感ある仕上がり

キャデラック エスカレードの手強いライバルに

ジープ グランドチェロキー Lリミテッド
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まさに威風堂々、初の3列シートとして登場

2列から3列に。5人から6人または7人乗りへ。ジープ『グランドチェロキー』が大きな変容を見せて日本市場に導入された。姿かたちはまさに威風堂々である。

と言ってもこれ、たまたまロングホイールベース版のモデルが先に導入されただけの話で、先代モデルと同様の2列5人乗りモデルも追って日本市場にデビューすることになっている。シートを1列増やしたことで、当然ながらボディはだいぶ大型化した。日本仕様のモデルは全長5200×全幅1980×全高1815mm(リミテッド)という3サイズを持つから、旧型のコイルサスペンション付き「ラレード」と比較した場合、全長で385mm、全幅で45mm拡大している。ホイールベースも175mm拡大しているから、やはり一回りは大きくなっている。

ジープ グランドチェロキー Lリミテッドジープ グランドチェロキー Lリミテッド

今回のモデルはグランドチェロキーとして5世代目のモデルに当たる。元々初代デビュー時から高級SUVを目指して投入されたモデルだったが、当時はクライスラーの単独開発につき、どうしてもアメリカンな志向が抜けず今にして思えば高級というイメージからは程遠かった。その後ダイムラーがクライスラーの支配権を握って以後はメルセデスベンツ『Mクラス』とプラットフォームを共有し、乗り味の面では大いなる進化を遂げたがやはり高級感という点では物足りなさを感じていたのだが、5世代目の今回はようやくハイエンドSUVの世界にようこそと言いたい気分である。

先代とは大きく異なる高級感ある仕上がり

ジープ グランドチェロキー Lリミテッドジープ グランドチェロキー Lリミテッド

今回試乗したのは日本市場におけるベースグレードの「リミテッド」である。その上級モデルとして「サミットリザーブ」なるグレードが用意されているのだが、そちらになると2列目シートがキャプテンタイプで6人乗り(リミテッドは2列目がベンチシートで7人乗り)となるほか、エアサスの設定があったり、使われている本革シートの質が異なっていたり、ダッシュには本木目が使われたり(リミテッドはフェイク)、さらにはマッキントッシュのオーディオが採用されているなど、その豪華さの程度はかなり異なっている。

価格差は211万円ほどになるが、ドライブトレーンに関しては両モデルとも全く共通で、3.6リットルペンタスターV6ユニットと8速ATの組み合わせである。そしてどちらもクォドラトラック2という2速トランスファーを装備する本格的な4WDシステムを備えている。このクォドラトラック2に関しては今回こそその実力を試す機会がなかったものの、過去何度もその卓越したオフロード走破性能を体験しているので、ジープの主張するオフロード性能は担保されていると思っている。その上で今回はドライ路面の印象を記すことにする。

ジープ グランドチェロキー Lリミテッドジープ グランドチェロキー Lリミテッド

ニューモデルはドライブトレーンこそ先代からのキャリーオーバーとなったが、ボディ/シャシーは完全に一新され、前述したようにインテリアの高級感は先代とは大きく異なる美しい仕上がりとなっている。少なくとも性能面における満足度は先代でも十分に高かったと思われ、ボルボ『XC90』、ポルシェ『カイエン』、BMW 『X5』、メルセデスベンツ『GLE』等々、並み居る強豪ライバルを抑えて日本市場での販売はブッチギリのトップをこのセグメントでは独走していたグランドチェロキーである。

ただし、今回は一気に100万円以上の価格上昇(2列シート仕様は恐らくこの限りではない)となっているので、そのブッチギリの販売数に多少ブレーキがかかることも予想されるが、それでもライバルから比べたらまだまだリーズナブルな価格設定である。

キャデラック エスカレードの手強いライバルに

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2列仕様の先代と比べてざっくり300kgほど重い今回のモデルで、全く同じドライブトレーンを使っているのだから、加速性能などにネガな要素が出るのは当然のことと思っていたのだが、実際に走らせてみて加速感が落ちたなぁ…とか、出足悪いなぁ…といったような印象は全くなかった。

少なくとも初期加速に関して言えばアメリカでは常に「ローンチフィール」と呼ばれる出足を重要視する傾向にあるから、そのあたりはしっかりと作りこんでいるのだと思う。そしてパーシャルからの中間加速にしても日本の速度域ではそれほど不満を感じないレベルなのは、大型化したサイズ感などもそれなりに影響して、ドライバーに与える心理的影響もあるのかもしれない。

いずれにせよ、性能的な不満は感じられなかった。そしてハイエンドSUVの世界という点の話になると、とにかく静粛性が高く快適である点が大きい。アメリカの高級車と言えば日本市場でキャデラックの右に出るアメリカ車はこれまで存在しなかったのだが、どうも新しいグランドチェロキーはその世界に足を踏み入れた感がとても強い。キャデラックにとっては手強い相手になると容易に想像がつく。しかもこちらは右ハンドルである。

エスカレードに負けているところがあるとしたら、さらにサイズのデカいその存在感だろうか。いずれにしても新しいグランドチェロキーは紛れもないハイエンドSUVである。因みに2列シート仕様も2022年中には導入される予定で、そちらには2リットル直4とモーターを組み合わせた「4xe」の仕様があるという。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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