国土交通省自動車局 令和4年度予算概算要求のポイント…国土交通省 自動車局 総務課企画官 渡眞利諭氏[インタビュー]

国土交通省自動車局 令和4年度予算概算要求のポイント…国土交通省 自動車局 総務課企画官 渡眞利諭氏[インタビュー]
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国土交通省より令和4年度の自動車局関係予算概要が去る1月に発表された。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた自動車の電動化の推進や、自動運転技術を活用した安全・安心の確保に向けた予算が盛り込まれた来年度の予算概算要求について、国土交通省自動車局総務課企画官の渡眞利諭氏に聞いた。

渡眞利氏は2月24日開催の無料オンラインセミナー 「令和4年度 国土交通省自動車局関係予算」に登壇して詳説する予定だ。

【参考】国土交通省自動車局 関係予算概要

カーボンニュートラルに向けた予算

---:まずお聞きしたいのは、カーボンニュートラルに向けた電動化の推進に関してです。どのような項目が設定されているのでしょうか。

渡眞利氏:主に大きいところを3点ご紹介させて頂きます。一昨年10月に当時の菅総理がカーボンニュートラルを宣言されました。この宣言をうけて、昨年6月に成長戦略が定められ、その中で自動車の電動化が定められています。それを踏まえ、電動車の普及促進をはかっています。

まずバス・タクシー・トラックなどの事業用車両について、次世代自動車の普及促進を着実に行うことと、同様に電気自動車の集中的導入支援というものがあり、あわせて約14億円となります。

---:この表を見ると、ハイブリットの補助金は通常車両との差額の1/3と少ないですね。いっぽうでEVは車両価格そのものの1/3なので、EVに大きな補助金がでるということなのですね。

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渡眞利氏:そうですね。FCVの場合は車両価格の2/3が補助されます。

---:そうすると、車両価格の半分以上を補助金で賄えるのですね。

渡眞利氏:そうですね。これは当初予算にはなかったあたらしい支援です。

続いて2点目についてご紹介します。次世代自動車の客観的なCO2排出量評価手法の構築についてです。

ご存知のとおり世界各国で自動車の電動化が進められていますが、その内容は国によってまちまちです。例えばEUではハイブリットは電動車として認められませんが、日本では電動車として認めていますし、アメリカではプラグインハイブリッドはOK、といったものです。

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このような状況の中で、日本の国際競争力をしっかり有利にするための基準づくりが大切になります。走行中だけみると電気自動車はCO2を出しませんが、製造段階や廃棄段階といったライフサイクルを含めてみると、必ずしもハイブリッドが劣っているわけではないというデータもあります。そうしたデータを客観的につかんで基準づくりにしていきたいと考えています。

---:なるほど。ライフサイクルアセスメントのモデルの構築のための予算がついたということでしょうか。

渡眞利氏:そうです。この予算は補助金ではなく、国が調査を民間に委託して調査をして頂くための費用です。この調査を活かして国際基準づくりをしていきます。

そのほかの新しい取り組みとしては、整備関連があります。電動化に対応した整備人材の育成をするための予算です。整備士を養成する施設や、新しい教材や設備をつかって教育をしていく方法を実証するための予算です。

---:そのほかの予算で目立ったものはありますでしょうか。

渡眞利氏:はい。例えば産学官連携による高効率次世代大型車両開発促進事業は、継続事業ですが、3億7800万円という大きめの予算がついています。

---:この産学官連携による高効率次世代大型車両開発促進事業とは、どういった事業なのでしょうか。

渡眞利氏:トラックやバス等の大型車は特に電動化が難しいといわれていますが、大型車の電動化を進めるための課題解決について調査するものです。たとえば、大きく重いトラックを長距離走らせるためには、バッテリーが大きくなりすぎて搭載しにくいという課題に対して、バッテリーの搭載場所を確保できる方法を開発したり、あるいは電動化ではなくエンジンで水素を燃やして走る技術の実用化のための調査などです。こういった調査に、メーカー、研究機関、大学、独立行政法人らが関わって取り組んでいるものです。

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さらにトラック関連では、電動トラックに適した物流網の調査もあります。電動トラックは走行距離が短いので、中継地を設定して物流経路を切り分ける方法を調査するものです。

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トラック事業者も、省エネ法などでCO2削減のため電気自動車を導入する必要がある中で、電動トラックは走行距離が短いために、導入が難しいという課題を解決するための調査です。

---:トラックや大型の事業用車両の電動化は、乗用車とは違う課題がありそうですね。

渡眞利氏:最後に3点目は、自動運転の活用です。自動運転に関して政府の目標ですが、2025年度を目途に高速道路でレベル4、また無人自動運転サービスを全国で展開していくという目標があります。

自動運転レベル4では、特定の条件下で無人運転もできるようになりますが、その際、無人の車が他の交通参加者とコミュニケーションを取る必要があるという新たな課題があります。そのコミュニケーションをどのようにとるのか、あるいは、あおり運転や逆走車などがあった場合に、システムがどこまで責任をとるのかに関する法整備も必要になってきます。これらを明確化するための調査が必要です。

また無人運転サービスについては、昨年福井県の永平寺町において、遠隔監視型の無人自動運転サービスが事業化されたという国内初の事例がありました。今後このようなサービス事業を全国に展開していくために調査をしています。地域ごとで使用する車両や走行条件が異なるため、ガイドラインを作成し、各地域が自動運転のサービスを導入しやすくするための調査になります。

---:これは、永平寺町の事例と同じく、遠隔監視型の無人運転サービスを想定しているのでしょうか。

渡眞利氏:そういうことですね。

---:わかりました。そのほかに、自家用車に関連する項目があれば教えてください。

渡眞利氏:はい。サポカー2.0の要件を検討する調査があります。現在のサポカーの制度は、被害軽減ブレーキと踏み間違え防止機能が搭載されている車両が対象ですが、より安全な技術を導入した車両をサポカー2.0(仮)とし、まずはその基準、要件を考えるという段階ですね。

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渡眞利氏:また、 ASV(先進安全自動車)プロジェクトの推進も検討しています。ドライバーが体調不良となった際に、システムが介入することによって安全に停止できる技術や、どのような条件下で作動すべきかを調査する予算もあります。

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---:わかりました。これまで挙げていただいた内容をお聞きすると、商用車と自家用車について、電動化と自動運転を中心に予算が組まれているのですね。

渡眞利氏:はい。自動車分野においては、国際競争に勝つためにも、基準づくりや補助金による支援をしっかりと行っていくことが重要だと考えています。官民が互いに知恵を出し合い、協力して進めていけるといいですね。

渡眞利氏が登壇する無料のオンラインセミナー「令和4年度 国土交通省自動車局関係予算」は2月24日開催。詳細はこちらから
《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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