AC普通充電器のストック市場…2035年には6割増の13万2210個に 富士経済予測

急速充電器のストック市場(コネクター数)
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富士経済は、2030年代半ば以降の内燃車新車販売禁止の政府方針を受けてEV/PHV普及が進むとみられ、それに伴い今後の展開が注目されるEV/PHV用充電器の国内市場を調査した。その結果を「EV/PHEV 充電・日本市場の全貌と将来性」にまとめた。

この調査では、AC普通充電器、DC急速充電器、ワイヤレス給電、充放電器の国内市場の現状を調査し、将来を予想するとともに、充電器関連サービスの動向についても整理した。

国内のEV/PHV用充電器は、AC普通充電器が市場の9割以上を占めている(2020年末時点)。2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行を受けた民間企業の設備投資抑制により需要が減少し、AC普通充電器のストック市場(コネクター数)の伸びは鈍化。2021年の市場見込みは2020年比1.7%増の8万4550個にとどまった。しかし、2021年以降はPHVの新車種投入、モデルチェンジ車投入を控えたカーディーラーでの公共用の増設などにより、堅調な市場拡大を予想。2035年には同59.0%増の13万2210個に大きく増加すると予測する。

用途別では家庭用と公共用が市場をけん引。公共用は堅調な伸びが予想されるが、今後はDC急速充電器の導入も増えるとみられる。職場用や商用車用はまだ設置数が少ないが、EV/PHVの普及に伴い、伸長が期待される。2035年の用途別予測は家庭用が同33.2%増の4万9650個、公共用が同32.1%増の4万3570個、職場用は2.4倍となる2万1100個、商用車用は4.4倍となる1万7890個と予測する。

DC急速充電器のストック市場(コネクター数)は緩やかな拡大を続けている。2021年の市場は同3.1%増の8065個となる見込み。2022年頃からは、市場の立ち上がり期である2010年前後に設置された充電器の更新需要を軸に設置が進むとみられる。また、充電渋滞対策や大出力機の追加などで増設需要が予想され、2035年には同62.3%増の1万2700個に増加すると予測する。ただし、政府主導の目標である「2030年までに公共用急速充電器3万基」については、具体的ロードマップはまだ確定されておらず、達成に向けては導入コストに対する助成制度など、早期の対策が望まれる。

DC急速充電器の普及課題として、高価格な点があげられる。出力50kW機でも100万円超であり、設置費用を含めるとさらに価格が上昇することから、設置事業者が投資コストを回収するには時間を要するとみられる。そのため、自社のEV/PHV販売サポートを目的にグループカーディーラーへの設置を進める自動車メーカーや、社会インフラとして公益性を重視する高速道路運営事業者などが設置するにとどまっており、現状は市場の9割以上が公共用で、今後もこの傾向が続くとみられる。出力別では、国内は大半が出力50kW機以下であり、欧米と比較すると、大出力充電器の導入は遅れている。一方、事業者の再編をきっかけとして180kW機の調達が決定されるなど、新たな動きもみられる。

《纐纈敏也@DAYS》

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