コネクテッドカー世界新車販売台数、2035年には2.9倍の9480万台へ…富士経済予測

T-Connect(参考画像)
  • T-Connect(参考画像)
  • コネクテッドカーの新車販売台数(乗用車・商用車)
  • V2X車載器搭載新車台数
  • 音声認識インターフェース 搭載新車台数
  • 自動駐車システム 搭載新車台数

富士経済は、コネクテッドカー関連の世界市場を調査し、この結果を「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2021」にまとめた。

この調査では、コネクテッドカーのエリア別市場に加えて、コネクテッドカー関連サービス10品目、コネクテッドカー関連機器・システム10品目、コネクテッドカー関連デバイス3品目、V2X関連機器・インフラ3品目、ADAS・自動運転関連・技術6品目の現状を調査し、将来を予想。また、主要自動車メーカーのコネクテッドカー戦略についても整理した。

◆コネクテッドカー、商用車も市場投入が加速

2021年の市場は、コロナ禍の影響や半導体不足によるサプライチェーンの問題を受けているものの、自動車メーカーのコネクテッド関連への取り組み強化を背景に、コネクテッドカーの新車販売台数は前年比22.2%増の4020万台が見込まれる。今後も、自動車メーカーやティア1が、CASE関連へ活発に投資すると予想され、2035年の市場は2020年比2.9倍の9480万台が予測される。

販売台数の多い乗用車が市場拡大をけん引。乗用車の新車販売台数に占める2021年のコネクテッドカー比率は47.0%が見込まれ、2035年には86.9%になるとみられる。一方、商用車でも大手商用車メーカーの技術開発や市場投入が進んでおり、コネクテッドカー比率は2035年に86.4%になると予測される。

地域別でみると、2021年は特に緊急通報システムの義務化により欧州が伸びている。今後は、中国で「スマートコネクテッドカー技術ロードマップ2.0」などの政策を受けて、コネクテッドカーや自動運転車の販売比率が大きく上昇するほか、北米や欧州でも2035年には新車販売台数が2020年比2倍以上になると予測される。これにより、2035年の市場は、2020年比2.9倍の9480万台が予測される。

◆V2X車載器、通信技術はDSRCからC-V2Xへ

V2Xは、自動車間(V2V)や自動車と信号機などのインフラ間(V2I)にて相互通信を行い、車両を制御することで事故発生を抑制する無線通信システム。無線通信技術としては、DSRCとC-V2X通信に大別される。

これまでは、日本や北米、欧州で採用が進んできたDSRCが主流だった。しかし、2020年末以降、中国で中国自動車メーカーやGMなどがC-V2Xの搭載を進めていることから、2021年はC-V2Xが大きく伸長している。また、米国でも2020年末にFCCがDSRCの周波数帯の一部をC-V2Xへ再割り当てすると決定したため、C-V2Xへのシフトが進みつつある。

今後も、中国では国家政策により、2025年にはC-V2Xを新車の半数以上に搭載し、2030年には標準装備化することから、今後はC-V2X搭載車が大幅に増加すると予想される。一方、DSRCは、欧州を中心に商用化が進むものの、大手自動車メーカーの搭載計画凍結や中止により、堅調な需要はあるものの、C-V2Xと同水準の伸びは期待できないとみられる。

◆音声認識インターフェース搭載車、2035年には10.8倍に

音声認識インターフェースは、テレマティクス分野で利用される車載用音声認識エンジン。これまでは、安全性低下の懸念から、カーナビゲーションやIVIなどの車載器は、運転中に複雑な操作を行えないよう機能が制限されており、本来の機能を十分に活用できない点が課題となっていた。この課題を解決するために、音声による操作を可能とする技術活用が欧州自動車メーカーにより先行して始まった。

2021年の市場はコネクテッドカーの新車販売台数が増加したことから、前年比21.7%増の420万台が見込まれる。今後は、中国でコネクテッド機能や自動運転機能を訴求したフラッグシップモデルや高級車で導入が広がっていることや、日本でカーナビゲーション向けの導入が進んでいることから市場拡大が予想される。また、高級車だけでなく、VW新型『ゴルフ』をはじめ一般車への搭載が始まっており、2035年の市場は2020年比10.8倍の3740万台が予測される。

◆自動駐車システム、後ろ向き駐車主流の日本では伸び悩む

自動駐車システムは、スマートフォンや専用キーを利用して車両を遠隔操作し駐車するシステム。BMWなど高級車を中心に展開するメーカーが搭載を進めており、これまで欧州や北米を中心に市場は形成されてきた。

2021年は、現代/起亜が自動駐車システム機能の対応車種を増加させたため、欧州や北米に加え、アセアンや東アジアでも搭載台数が増えており、市場は前年比3.5倍の144万台が見込まれる。ただし、日本では駐車スペースの制約から後ろ向き駐車が要求されるため、システムが複雑になることから、採用は限定的だ。

今後は、自動運転システムのレベル2・レベル3の一部車種への採用によって伸長するとみられる。特に現代/起亜の主要販売エリアである北米や欧州、韓国などで普及が進むとみられ、2035年に市場は2020年比14.4倍の592万台が予測される。

《纐纈敏也@DAYS》

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