京王線の事件とリニア崩落、再発防止を指示 11月2日の国交相会見

車内傷害事件で上り特急が緊急停車した京王線国領駅。多くの被害者が運び込まれた。
  • 車内傷害事件で上り特急が緊急停車した京王線国領駅。多くの被害者が運び込まれた。
  • 瀬戸トンネル斜坑掘削工事の様子。
  • 瀬戸トンネルの工事位置。

斉藤鉄夫国土交通大臣は11月2日に開かれた定例会見で、京王電鉄(京王)京王線で発生した傷害事件とリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で発生した崩落事故に関する今後の対策について記者の質問に答えた。

10月31日19時56分頃に発生した京王線の傷害事件では、布田(ふだ)~国領(こくりょう)間を走行中の上り特急車内で、服部恭太容疑者が居合わせた70代の男性客を突然刃物で刺し、さらに可燃性の液体を撒いて火災を発生させ、多くの乗客をパニック状態に陥れた。

8月6日に小田急電鉄(小田急)小田原線でも傷害事件が発生していたことから、国交省では9月24日に警備強化や被害回避・軽減に向けた対策を取りまとめており、京王でもそれに則った訓練を実施していたというが、斉藤大臣は事件発生の翌11月1日、全国の鉄道事業者に対して警察と連携しての警戒監視を徹底することを改めて指示したと述べた。

これに対応して京王では警備員を増員して、駅構内や車両内の監視態勢を強化。11月2日には国交省がJR旅客各社と大手民鉄16社などの安全統括管理者による会議を開き、再発防止の検討を指示しているという。

一方、10月27日に発生したリニア中央新幹線の崩落事故では、瀬戸トンネル斜坑の切羽付近で発破直後に崩落が発生し作業員1人が死亡しているが、厚生労働省では発破直後に切羽に接近することは危険として、2016年に「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」を作成しており、JR東海がリニア全工区でこれを遵守しているかどうかを確認するため、工事を一時中止したという。

工事は確認された工区から地元自治体へ報告の上、順次再開しているが、瀬戸トンネルがある瀬戸工区では原因究明と再発防止策が講じられるまで工事が中止されており、斉藤大臣は「JR東海が施工会社に対して安全な施工を適切に指示することも含め、リニア中央新幹線の工事が安全かつ確実に実施されるよう、引き続き、JR東海を指導・監督していきたいと思います」と述べている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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