アウディ『グランドスフィア』、次世代大型EVサルーン提示…航続は750km以上

「道路を走るプライベートジェット」がコンセプト

大きな塊から削り出したようなエクステリア

ツインモーターは最大出力720hp

アウディ・グランドスフィア
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アウディは9月2日、次世代コンセプトカーの『グランドスフィア』(Audi Grandsphere)を発表した。

グランドスフィアは、アウディが順次初公開を予定している3台の次世代コンセプトカーの2番目のモデルだ。アウディは3台のコンセプトカーで、アウディが未来の高級車をどのようにデザインするかを提示する。

3台に含まれる共通のルートワードが、「スフィア(sphere)」だ。3台のコンセプトカーでは、新しいインテリアコンセプトと、車内での新しいデジタル体験を提案する。パワートレインはEVとした。

「道路を走るプライベートジェット」がコンセプト

グランドスフィアの開発コンセプトは、道路を走るプライベートジェット。飛行機のファーストクラスを連想させる快適性を備えたラグジュアリーなプライベート空間と、包括的な乗車体験を融合している。自動運転モードでは、ステアリングホイールとペダル類が格納され、ディスプレイが消えて、インテリアが広々とした空間へと変化する。フロントシートはスペースや見晴らし、包括的なデジタルエコシステムによる多彩な機能へのアクセスを可能にし、ファーストクラスのラウンジになるという。

アウディは乗員を取り巻く空間を、スフィア=球、と呼び、デザインの中心的要素にインテリアを据えている。この次世代の車両では、発想の起点はインテリアにあり、移動中の乗員の生活と体験を重視した。乗員のニーズと欲求が空間を形成し、これがアーキテクチャーや機能へと発展する。

この再評価により、デザインプロセスそのものにも変化が現れたという。開発の初期段階で、焦点はインテリアとそのデザインに向けられることが確認された。その後、車両の技術的なスペックに基づいて、車両を総合的な芸術作品へと変えるパッケージング、エクステリアライン、プロポーションが決定されたという。

大きな塊から削り出したようなエクステリア

グランドスフィアのボディサイズは、全長5350mm、全幅2000mm、全高1390mm。3190mmのホイールベースは、現行『A8』のロングホイールベースよりも長い。グランドスフィアは、伝統的なセダンのスタイルを踏襲するのではなく、風洞実験室から出てきたようなラインを持つタイトな4ドアGTを目指した。そこには無駄な装飾は存在しないという。

エクステリアデザインには、EVの特長が表現された。短いオーバーハング、フラットなボンネット、可能なかぎり前方に移動したフロントウィンドウなどのデザイン要素をフロント部分に導入する。ボンネット上端は、シャシー側面の水平線へと引き込まれ、伝統的なGTカーの特長の長いエンジンコンパートメントを印象づけることを狙う。このラインがホイールを横切って同じ高さでリアへと続き、キャビン全体を一周して、サイズ感を強調している。

ボンネットのベース部分に端を発する第2の水平ラインは、サイドウィンドウ下側を通過し、キャビン全周を貫く。第2のラインによって、ドアの表面は、水平基調のショルダー部と、ロッカーパネルに挟まれた凸状の鉛直部分に分割された。ホイールアーチには、ソフトな形状が採用されている。大きなCピラー後方のスリムなリアセクションは、伝統的な流線形がモチーフ。ルーフラインは、ダイナミックなアーチを描く。あらゆる線と面は有機的に関連し、ひとつの大きな塊から削り出したような印象を与えることを目指したという。

ツインモーターは最大出力720hp

車台は、EV専用に開発された「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」がベースだ。PPEでは、前後アクスル間に蓄電容量およそ120kWhのバッテリーを搭載する。アクスル間のベース部分全体を使うことで、フラットなバッテリーレイアウトを可能にしている。

4WDの「クワトロ」ドライブシステムを採用する。前後アクスルにそれぞれに電気モーターが搭載され、電気モーターを制御することによって、ドライビングダイナミクスとエネルギー効率のバランスを取りながら、オンデマンドの4WDを実現した。ツインモーターによって、システム全体で最大出力720hp、最大トルク97.9kgmを発生する。

800Vの充電テクノロジーを採用しており、急速充電ステーションを利用すれば、最大270kWの出力で、短時間で充電できる。充電時間は従来型エンジンの燃料補給と同等レベルという。300km以上の走行に必要なエネルギーの充電は、10分で完了する。さらに、容量120kWhバッテリーの充電レベルが5%まで低下した場合でも、25分未満でバッテリー充電レベルを80%まで回復させることができる。

1回の充電での航続は、条件によっては750kmを超える見通し。航続と充電速度は内燃エンジン搭載車と遜色ないという。走行性能では、電気モーターが発進直後から大きなトルクを引き出し、0~100km/h加速は4.0秒強で駆け抜ける。最高速は航続を伸ばすため、リミッターで制限されている。

《森脇稔》

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