【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】ハイブリッドが売れる理由が理解できた…中村孝仁

ホンダ ヴェゼル e:HEV Z
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販売比率9:1。圧倒的にハイブリッドが売れている背景について、ガソリンモデルに試乗した時は、その理由が定かではなかった。しかし今回、ハイブリッドモデル「e:HEV Z」に試乗して薄々ながらその理由が理解できた。

車両本体価格は295万9000円で、ガソリンモデルと比較した時におよそ64万円差と結構な開きがある。試乗車はこれにディーラーオプションのドラレコやフロアカーペット(価格表示なし)、メーカーオプションのホンダコネクト用のディスプレイやナビなどが装着されていた(こちらも価格は不明)。

ただ、ガソリンモデルの場合たとえこのホンダコネクトのオプションを選んだとしても、マルチビューカメラは装備されない、あるいは後退出庫サポートが付かないといったデメリットもあり、さらには本革ステアリングや本革巻きセレクトレバーなどは設定もない。またブラインドスポットインフォメーションや車両接近通報装置といった安全にかかわる装備の設定もない。こうした装備は本来省いて欲しくないものなのだが、結果として64万円の差で安全を買うことになる。

ガソリンとの違いは決定な燃費の差

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もっと決定的だったのが、燃費の差である。ガソリンモデルと全く同じように160kmほど一切高速を使わずに走った結果は平均燃費22.4km/リットル。ガソリンモデルが11.2km/リットルであったから、見事にダブルスコアである。

これに40km弱の高速区間を追加した総平均は22.6km/リットル。これだけ大きな差が付くとランニングコストへの影響もかなりのもので、結果として64万円上乗せされても、装備やランニングコスト、それに満足感も手伝って、ハイブリッドを買おう…ということになるのだと思う。もしもガソリンモデルにより高級な仕様が追加されたとしても、当然それはコストに反映されて、価格差が小さくなるので結果は同じことになるような気がする。

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これがHEVが売れる理由と理解した。では走りの差はどうだろう。ICU(エンジン)単体の性能は同じ1.5リットルながら106ps、127Nmと、ガソリンモデルよりも低く設定されている。しかしこれに131ps、253Nmの駆動用のモーターが装備されるから、当然ながら性能的にはガソリンモデルを上回り、あらゆるシーンでガソリンモデルよりも一回り上のパフォーマンスを感じさせてくれる。当然車重はガソリンモデルよりも130kg(2WD比較)重いのだが、それを差し引いても、ハイブリッドの走りにゆとりを感じたことは確かだ。

因みにモーターは駆動用の他に発電用がもう一つ装備されていて、エンジンの出力で発電用モーターを回し、そこで得られる電気を走行用モーターに供給する仕組みだ。エンジンとモーター、それにこれらをコントロールするユニットの連携にF1で得られた知見が採用されているかといえば、多分されていないだろうが、ホンダファンはそう考えていれば幸せになれる。

走りの違いはドライブモードスイッチ

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走りで大きな違いがあるのはハイブリッド車にはドライブモードスイッチが装備される点。ガソリン車にはその設定はない。このドライブモード、エコ、ノーマル、スポーツの3つからドライバーが任意にチョイス出来るもの。パドルが装備されているが、実はこれ、ブレーキの回生力を変えるもので、こいつを上手く活用すると俗に言うワンペダルに近いドライブ感覚を楽しめる。ドライブモードはそれを切り替えても劇的に走りに変化があるものではなかったけれど、どうしても燃費重視で走りたいといった状況には効果があるかもしれない。

装着タイヤもミシュラン・プライマシー4、225/50R18と、ガソリンモデルよりも立派で実際に走ってみてもどっしり感を感じさせてくれる走りに終始した。相変わらず中心付近のステアリングの遊びは大きく、コーナリングを愉しむクルマではないことは明白で、やはりロングドライブをゆったり楽しくがこのクルマのテーマになっていると感じた。

乗り心地はガソリンモデルと同様に非常にフラット感が高く快適である。明らかに旧型を踏襲しているとはいえ、プラットフォームに改良が加えられた印象が強い。

一つだけわからなかったのは、エアコンをオートに設定すると、内気循環モードに入り外気導入をチョイスすると、オートモードが切れてしまうこと。一体何故??であった。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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