「3期連続の赤字を必ず回避したい」---。日産自動車が横浜市の本社で開いた定時株主総会で、業績の不振に不満を抱く株主を前に、内田誠社長はこう決意を示した。
日産は5月中旬の決算発表時点では2022年3月期の連結業績予想を、最終利益が600億円の赤字と、3期連続の最終赤字となる見通しを公表しており、出席した株主からは業績回復がトヨタ自動車など競合他社と比べ遅れていることに不満の声が上がった。
こうした不満に対して内田社長は「世界的な半導体不足の影響による減産などのリスクを抱える中でも、4、5月の業績は回復の兆しを見せている。3期連続の赤字を必ず回避したい」と黒字化に向けた意欲を示した。また、配当を見送っていることについても内田社長は「大変申し訳ない。もう少しお時間をいただければ成果は出てくる」と理解を求めながら、「できるだけ早期に復配することを目指す」と強調した。
きょうの各紙も日産の株主総会について取り上げているが、読売は「日産『3期赤字必ず回避』」社長意欲」とのタイトルで、「電気自動車(EV)の開発や生産を加速させるため、連合を組む仏ルノー、三菱自動車と基幹部品の約7割を共通化する考えを明らかにした」とも伝えている。
産経も「日産『赤字必ず回避』、新車投入、巻き返し決意」の見出し。日産ネクストでは1年半で12モデルの新型車を投入する計画を掲げ、日本国内では全面改良した人気小型車『ノート』を発売。今秋にはノートの上級タイプ「ノートオーラ」、冬にはスポーツ用多目的車(SUV)タイプの電気自動車(EV)『アリア』を投入するが、内田社長は「新しい商品で企業価値を高めたい」とし、「日本で出したブランド力が各国での事業力を伸ばしていく」と語ったことなどを取り上げている。
日産の株主総会には、186人の株主が出席。内田社長ら取締役12人の再任を議決したほか、個人株主がルノーとの提携関係を定めた協定の内容を開示するよう求めた提案は否決され、所要時間は1時間47分だった。
2021年6月23日付
●五輪会場酒販売見送り、組織委調整(読売・2面)
●日産「3期赤字必ず回避」社長意欲、EV部品、3社で共通化、株主総会(読売・8面)
●小池知事が入院「過度の疲労」(朝日・1面)
●追跡型広告転換期に、個人データ収集を制限、アップル・グーグル(毎日・6面)
●五輪スポンサー準備本腰、PRの場少なく不満も(産経・9面)
●車・商社株買い戻し、日経平均反発、海外勢、米株高受け(日経・21面)