川崎重工、バイク黒字転換するも通期予想は250億円の最終赤字

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  • 川崎重工業の2020年度第3四半期決算
  • 川崎重工業の2020年度通期見通し

川崎重工業が2月4日に発表した2020年度第3四半期累計(4~12月)の連結決算は、売上高が1兆324億円(前年同期比9.1%減)、営業損益が37億円の赤字(前年同期は309億円の黒字)、当期純損益が139億円の赤字(同47億円の黒字)だった。

「売り上げ面に関しては、前年同期比で1029億円のマイナスと大幅な減少になっているが、減少幅は第2四半期よりも縮小している。営業利益面では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が主因で347億円の減益となっているが、航空宇宙システムを除き、コロナによる損失は落ち着きつつある。精密機械、ロボット、モーターサイクルの回復が著しく、10~12月の営業損益は181億円の黒字に転換して着実に改善している」と山本克也副社長は第3四半期決算を総括した。

受注に関しては、精密機械やモーターサイクルの分野では着実に環境が回復しているが、航空宇宙システムとエネルギー・環境分野では商談の長期化や投資決定先送りの影響が出ており、全体では前年同期比で減少しているとのことだ。

セグメント別の業績を見ると、航空宇宙システム事業は、防衛省向けで安定した需要があるものの、民間航空機については、新型コロナウイルスの感染拡大により世界の旅客需要が低迷して機体・エンジンとも需要が低下し、売上高は前年同期に比べ934億円減収の2779億円となった。営業損益は減収などにより、前年同期に比べ397億円悪化して192億円の赤字だった。

通期見通しについては、円高の影響や民間航空機向け分担製造品の減少があるものの、民間航空エンジンの増加により、売上高4000億円、営業損益250億円の赤字という10月に公表した数値を据え置いた。

モーターサイクル&エンジン事業は、上期までは新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかったが、第3四半期に入ると、北米市場でオフロード向けを中心に前年を上回る売り上げになっているほか、欧州市場も前年並みにまで回復。しかし、新興国の落ち込みが大きく、売上高は前年同期に比べて46億円減収の2255億円だった。

「営業利益面は、10~12月の3カ月間では69億円の営業黒字となり、新興国を除き、新型コロナの影響からは脱却しつつある。特に北米での末端販売は好調だ」と山本副社長は話し、通期の見通しを売上高が100億円増の3300億円、営業損益が50億円の赤字から50億円の黒字へとそれぞれ上方修正した。

2020年度通期業績見通しについても、10月公表値より営業損益を100億円増益の100億円の赤字(前期は620億円の黒字)、当期純損益を20億円増益の250億円の赤字(同186億円の黒字)へと上方修正。売上高については、1兆5000億円(前期比8.6%減)を据え置いた。

「売上高では、車両の減収などはあるものの、精密機械・ロボットやモーターサイクル&エンジンの増収により、全体では見通しを据え置き。営業利益では、車両や船舶海洋の悪化などはあるものの、モーターサイクル&エンジンやエネルギー・環境プラント、精密機械、ロボットの改善により、全体では見通しを引き上げた」と山本副社長は話していた。

《山田清志》

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