【グッドイヤー EfficentGrip RVF02 試乗】ミニバン専用タイヤが新世代へ“重視されたのは価格よりも安全性”...岡本幸一郎

グッドイヤー EfficentGrip RVF02
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米国で創業し120周年。そして日本に上陸してまもなく70周年を迎える老舗ブランド「グッドイヤー」が、3月に発売予定のミニバン専用タイヤ『EfficentGrip RVF02(以下「RVF02」)』をメインとする試乗会を、富士スピードウェイ内のクローズドコースで開催した。

グッドイヤーではこれまで、ミニバン向けに『EAGLE RV-F』をラインアップしていたが、このほどグッドイヤー内でもブランド商品の再整理に合わせて、新商品がエフィシェントグリップ(以下「E-Grip」)シリーズの一員とされた。それは以下のような理由からだそうだ。

グッドイヤー EfficentGrip RVF02グッドイヤー EfficentGrip RVF02
グッドイヤーが行なったアンケート調査によると、ミニバンユーザーがタイヤ購入後に性能面で不満に感じた点として挙げたのは、

1. 運転中のノイズ、静粛性
2. 乗り心地
3. ライフ
4. 低燃費
5. 運転の負担

とのこと。また、大切な家族を乗せて走る機会の多いファミリー層にとっては、価格より安全が重視される傾向にあるという。RVF02はこれらの要望に応えるべく開発されており、まさしくその通りの走りを確認できたことを、あらかじめお伝えしておこう。

やさしい乗り心地 操縦性もマイルドかと思いきや

グッドイヤー EfficentGrip RVF02グッドイヤー EfficentGrip RVF02
高速主体の外周路、低中速主体の内周路、低ミュー路という3パターンが用意された一連のコースを走ってみてまず印象的だったのは、快適性の高さだ。路面がきれいなのでロードノイズは発生しにくい状況ではあったが、ピッチ数の最適化などによりパターンノイズが抑えられているのは明らかで、車速を上げても極めて静かなことに驚かされた。なお、数値的にはEAGLE RV-F比でパターンノイズが14%、ロードノイズが9%低減しているという。

さらには、連続した小突起を通過しても衝撃が巧く緩和され、振動も瞬時に収まるので乗り心地はいたってマイルドであることにも感心した。硬さがなく、しっとりしなやかな乗り味を実現している。パフォーマンスを訴求するEAGLEシリーズからトータルバランスを追求したE-Gripシリーズとされたのは、こうした方向性の変化もあってのことに違いない。

それでいて走りのほうも、アルファードのような重量級のクルマでスラロームやレーンチェンジを試みても、しっかりと支えられることが伝わってくる。ミニバン専用タイヤとしての面目躍如だ。操舵に対する応答遅れも小さく正確に動き、フラつきも気にならず、素早く切り返しても揺り戻しが小さい。ブレーキングでも4輪がしっかり地に足が着いている感覚があり、いたって安定している。
グッドイヤー EfficentGrip RVF02グッドイヤー EfficentGrip RVF02
これほどやさしい乗り心地だと操縦性もマイルドなのでは、と予想したが全くそんなことはなく、あくまでも走行性能を確保した上で、快適性を可能な限り引き上げたというニュアンスで、相反する関係にある乗り心地と操縦安定性を見事に両立している。

国内新車販売比率3割強に達するミニバンやハイトワゴンのために

グッドイヤー EfficentGrip RVF02グッドイヤー EfficentGrip RVF02
一方で、ウェットグリップもかなりのものだ。路面は一般的なアスファルトよりもややミューが低めとのことで、同じコースをオールシーズンタイヤで走ると簡単に滑り出すのに対し、RVF02は粘り腰のグリップを見せる。タイトターンや円旋回でもあまり膨らまず、狙ったラインを大きく外すことなくトレースできて、限界を超えてからも唐突な挙動は起こさないのでリカバリーしやすい。

世に「ミニバン専用」を謳うタイヤがいくつか存在するが、走り重視で硬さを感じる商品も見受けられるのに対し、RVF02はコンセプトどおり全方位バランスがよく、とりわけ快適性の高さが印象的だった。さらには接地形状の最適化やランド比の向上により、耐摩耗性が向上したほかラベリングで全サイズを達成するなど、ライフや転がり抵抗も改善している。

日本国内の新車販売において販売比率が3割強に達しているミニバンやハイトワゴンを愛用する方達にも薦められる、実に万能なタイヤだ。とりわけ、「しあわせ家族の、足元に。」のキャッチコピーに象徴されるような、同乗者を大切にしたいファミリー層にとってはなおのことだ。

各商品に見るサイドウォールの硬柔とブロック剛性の絶妙なバランス

グッドイヤー Vector 4Seasons Hybridグッドイヤー Vector 4Seasons Hybrid
そして同じコースをオールシーズンタイヤを履かせたアルファードでも走行したところ、いろいろと違いがわかった。

『Vector 4Seasons Hybrid(フォーシーズンズ ハイブリッド ※以下「ベクター」)』を試すと、やはり全体的にサマータイヤのRVF02ほどのグリップはないものの、意外なほど操舵ゲインが高くて、スイスイと軽やかに回頭することに驚いた。

サイドウォールはサマータイヤほど硬くないものの、ブロック剛性が高められたことが効いているようだ。それもあって小突起を乗り越えると当たりが強めに感じられたり、パターンノイズはそれなりに気になったとはいえ、このまま雪上を走れてしまうのならたいしたものだ。

グッドイヤー Vector 4Seasons Hybridグッドイヤー Vector 4Seasons Hybrid
ウェットグリップもそれなりで、タイトターンや円旋回はとてもRVF02とは同じ車速では曲がれなかったのは当然としても、ウェットブレーキ性能は遜色なかった。それはドライでも同様で、ブレーキ性能はしっかり確保されていた。そのあたり安全に止まれることをなによりも優先すべきとの認識によるものなのだろう。

これに対し『Assurance WeatherReady(アシュアランスウェザーレディ)』は、やはり設計年次が新しいこともあって、全体的にべクターよりも洗練された印象を受けた。とくにパターンノイズが圧倒的に小さく、よりサマータイヤに近い感覚で走ることができる。

ベクターとの実勢価格の差は小さくないようだが、それなりに違いはあると認識いただいてよいだろう。

グッドイヤー Assurance WeatherReadyグッドイヤー Assurance WeatherReady

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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