アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュの経営統合により、アイシン精機から出向中で、現在、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社ビジネスプロモーション部 部長の加藤博巳氏に、「チョイソコ」の2020年に入ってからの新しい動きについて聞いた。
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強みのカーナビ技術を活かしたい
---:なぜアイシンがチョイソコなどサービスに取組むのですか?
加藤氏:アイシンが自動車を使ったサービスなどMaaSに取組む理由は、国内トップシェアを誇るカーナビが強みだと思っているからです。位置情報の活用で、マッチングしたり、新たなサービスを展開したいと考えています。
---:チョイソコのビジネスモデルを作る際に重点を置いた点は?
加藤氏:チョイソコはデマンド型乗合交通です。デマンド型乗合交通は以前から各地で提供されているサービスで、近年いろいろな企業がシステムを開発していますが、自治体が主体でサービスを提供しているため、非効率な運用状況で、そのほとんどが赤字です。赤字体質から転換するためには、通院・買物用のみならず、外出を促すイベントを企画したり、目的地となるエリアスポンサーからお客様を連れてきたからお金を出してもらう仕組みをつくって、運行コストに充てて、税金100%から脱却する必要があると考えています。
増えるエリアスポンサー
---:エリアスポンサーの状況は?
加藤氏:チョイソコは愛知県の豊明市で、「チョイソコとよあけ」として初めのサービスがはじまりました。チョイソコとよあけのエリアスポンサーがどんどん増えています。チョイソコのサービスがはじまった2019年は、アイシンが1件1件営業に出ていましたが、最近では営業をしなくても声がかかるようになってきました。
スポンサー料は、当初は5000円、1万円でしたが、5000円、1万円、3万円以上と徐々に高くなっています。これまでは50%が1万円でしたが、5万円の会社も出てきています。スポンサーの会社数も以前は24社でしたが、今では58社になりました。エリアスポンサーの継続率も96%。
スポンサー料に応じて、会員に配布する「チョイソコ通信」の広告の頻度や枠を変え始めました。また、市役所にスポンサーボードを、寺社仏閣のように置いて、どの会社に支えられているか見えるように工夫しています。
地域貢献では続かない
---:豊明市以外の展開は?
加藤氏:2021年1月時点で14か所まで広がり、2021年度にはチョイソコのサービスが、全国20か所以上の地域に拡がっていく予定です。
自動車販売店や自治体など数多くの方が、自分の地域でも取り入れたいと、チョイソコとよあけの視察に来てくださっています。これまでの視察者を大きく2つに分類することができました。(1)チョイソコサービスを赤字にしないように考える方、(2)赤字だと割り切って社会貢献に位置付ける方です。しかし、私は(2)の考え方はお勧めしていません。なぜなら、新型コロナウィルスなど経済的な影響が出ると、すぐに辞めることになるので、地域の評判が悪くなってしまうからです。
チョイソコサービスを自分の地域ではじめる場合は、まずは自治体に協力を要請して、予算を確保してもらうことが必要です。そして、ランニングコストは徐々に会員数とスポンサー企業が増えるにつれて、自治体負担が下がってくること念頭に取組むとよいと思います。
自治体の業務の効率化など、チョイソコ以外でも
---:新たな展開は?
加藤氏:チョイソコはクルマを走らせているので、走行中にとれるデータを活用できないかと考えています。例えば、道路破損、標識劣化、渋滞状況、リアルタイムの大気汚染情報など、自治体の調査にかかっているコストの効率化ができないかと考えています。
また、トヨタファインナンス様と、キャッシュレスを目指して顔認証システムを開発して猪名川町で投入しています。うまくいけば会員証提示や代金決済を不要にできます。子どもの見守り機能も付けて、顔認証されるとメールで飛ぶようにするようにも工夫しています。
さらに、チョイソコサービスとは別に、子どもの送迎サービスを企画検討しています。塾の送迎のみでは、サービスとして成り立たないので、学童、カルチャーセンター、塾を結ぶようなものを作りたいです。
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