マセラティの新型スーパーカー『MC20』、最新プロトタイプの画像…故スターリング・モスに敬意

(手前から)マセラティMC20プロトタイプ、250F、エルドラド
  • (手前から)マセラティMC20プロトタイプ、250F、エルドラド
  • (左から)マセラティ250F、エルドラド、MC20プロトタイプ
  • (向かって左から)マセラティ・エルドラド、MC20プロトタイプ、250F
  • マセラティ MC20 の最新プロトタイプ
  • マセラティ MC20 の最新プロトタイプ
  • 2018年のヒストリックカーレース(モナコ)を走るマセラティ250F。
  • 1957年マセラティ250F。2台目はMC12 GT1。
  • 1958年マセラティ・エルドラドを駆るモス。

マセラティは5月13日、現在開発を進めている新型スーパーカー、『MC20』(Maserati MC20)の最新プロトタイプの画像を公開した。MC20は、4月12日に90歳で亡くなった元F1ドライバーのスターリング・モス氏に敬意を表した車だという。

MC20の「MC」とは、マセラティ・コルセ=マセラティ・レーシングを意味する。「20」は2020年を指し、マセラティの歴史の新しい始まりを意味している。

またMC20は、2004年に発表された『MC12』に続くマセラティのスーパーカーとなる。マセラティはこのMC12で2004年、37年ぶりにレースに復帰した。MC12は2004年から2010年にかけて、FIA GT選手権で22勝し、コンストラクターズチャンピオン、ドライバーズチャンピオン、チームチャンピオンを合計で14回獲得している。

1956年F1モナコGP、モスがポールtoウィン

MC20のプロトタイプが発表された5月13日は、マセラティ「250F」に乗るモスが1956年のF1モナコGPで勝利を収めた日だ。スタートからフィニッシュまでの100周を、モスはいちどもトップを譲ることなく走り抜けた。

モスはしばしば250Fを“お気に入り”と語っていた。1956年と57年、モスは250Fでグランプリに参戦し、いずれもシーズン2位で、モスは後に“無冠の帝王”と呼ばれることになる。56年と57年に王者となったのはいずれもファン・マヌエル・ファンジオで、57年は同じマセラティ250Fに乗っていた。

1958年にモスがデビューさせた“エルドラド”

プロトタイプはカモフラージュに覆われているが、MC20のデザインは1958年、モスがモンツァで走らせたシングルシーター、マセラティ「420/M/58“エルドラド”」からの引用があるという。

マセラティ・エルドラドは、モータースポーツの世界とは関係ないブランドにスポンサーされた、欧州初のレーシングマシンだ。エルドラドは、国際自動車連盟が割り当てたナショナルカラーではなく、パートナー企業のカラーリングが施されていた。これによってモータースポーツは、新たな支援者に門戸を開くことになった。

マセラティは、エルドラド・アイスクリーム・カンパニーのオーナー、ジーノ・ザネッティの命を受けて、レーシングマシンを製作した。自身のブランドを国際的にプロモーションしたいと考えたザネッティは、モンツァで開催される「トロフェオ・デイ・ドゥエ・モンディ(ふたつの世界のレース)に参戦するためのシングルシーターの製作を、マセラティに依頼したのだ。

マセラティが製作した420/M/58、シャシーナンバー4203の車体は、イタリアンレッドではなく、エルドラドのコーポレートカラーで塗装された。側面には企業名が記され、ノーズ中央とリヤフィン左右側面には、笑顔のカウボーイのイラストが描かれた。サイドには、レーシングレッドで「Italia」と入れられた。

MC20にはマセラティ自社開発の新エンジンを搭載

現在、開発が進められているMC20の中央には、新しいエンジンが搭載されている。革新的な燃焼システムを備えたこの新しいパワートレインは、開発から組み上げに至るまで、全てがマセラティで行われ、今後開発されていくマセラティモデルに搭載されるエンジンファミリーの第一弾になるという。

なお、最新のプロトタイプは今後、公道やサーキットでテスト走行を行う。路上でのテストデータは、マセラティ・イノベーション・ラボにある最先端のドライビング・シミュレーターからの数値と統合され、数々の調整を経て、最終的なボディワークと機構を備えたプロトタイプへと仕上げられていく予定だ。

《森脇稔》

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