長崎県知事が佐賀県の「5択」検討に難色…九州新幹線西九州ルートの整備問題

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  • 佐賀県が主張している5者択一の内容。長崎県の中村知事は「スーパー特急方式」を引き合いに出し、現状を確認することから議論を行なうべきであるという考えを示している。

長崎県の中村法道知事は2019年12月27日に開かれた定例会見で、整備方式で紛糾している九州新幹線西九州ルート新鳥栖~武雄温泉間について、佐賀県が求める「5択での検討」について難色を示した。

新鳥栖~武雄温泉間については当初、在来線を整備する方針が示されていたが、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の開発断念を受けて、2019年8月、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(与党PT)が国土交通省に対してフル規格での整備を求めており、中村知事は新鳥栖~長崎間の早期全線開業を目指す立場として、この点が2019年における大きな成果とした。

しかし、在来線の整備方針が覆されることに危機感を抱いている佐賀県側は、当初あったスーパー特急方式を含む5択の選択肢の中から改めて検討することを要望しており、同県の山口祥義知事は、2019年9月に国土交通大臣に就任した赤羽一嘉氏と2回面談。赤羽大臣は新鳥栖~武雄温泉間のフル規格建設における環境影響評価調査予算を佐賀県の同意なしには計上しないことを表明したが、中村知事はこれについて「大変残念に受け止めている」と述べている。

2019年は、長崎県側から8月に山口知事へ面談を申し入れたものの「その環境にはない」として佐賀県側が拒否。12月にも面談を申し入れたものの、佐賀県側からは「新しい提案があるのであればお会いしてもよい」という返事があったという。

中村知事は佐賀県側が言う「新しい提案」については「なかなか理解できない」と述べ、どのような提案を求めているのかをまず聞く必要があるとした。

また、佐賀県が示す5択を前提とした協議に参加していくことになるのかという記者からの質問については「5択の中からいずれかを選択すれば、双方理解できるかというと、なかなか難しい面があるのは事実であります」と述べた。

中村知事は、5択のひとつに挙げられているスーパー特急方式を引き合いに出し、「車両自体が存在しないという状況にありますので、そのスーパー特急方式というのが選択肢になり得るのかどうかということについても非常に疑問に思っている」と述べ、それぞれの選択肢における現状を確認し、理解する必要があるという考えを示した。

スーパー特急方式は、トンネルや高架橋といった構造物を新幹線のフル規格同様に建設するものの、列車は在来線と同じ軌間1067mmの狭軌を200km/h以上で走行する方式。2011年3月に全線開業した九州新幹線鹿児島ルート(博多~鹿児島中央間)では、1998年までに船小屋信号場(現・筑後船小屋)~西鹿児島(現・鹿児島中央)間がスーパー特急方式で着工したものの、2000年に残る博多~船小屋信号場間が着工した際は全線がフル規格に格上げされたという経緯がある。

西九州ルートの場合、すでに武雄温泉~長崎間が標準軌(1435mm)のフル規格で建設中であり、新鳥栖~武雄温泉間を狭軌のスーパー特急方式として直通させる場合、武雄温泉~長崎間を狭軌に戻す必要がある。長崎県としては到底容認できることではないだけに、2020年は両県がどのように落としどころを見つけることができるのか、国の動向とともにさらに注目される。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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