ヤマト運輸社長「誰でもが扱いやすい工夫を凝らした」…ドイツ企業と小型電動トラックを共同開発

左からドイチェポストDHLのトーマス・オグリビー取締役、ストリートスクーターのイエルグ・ゾマーCEO、ヤマト運輸の栗栖利蔵社長、ヤマトホールディングスの長尾裕社長
  • 左からドイチェポストDHLのトーマス・オグリビー取締役、ストリートスクーターのイエルグ・ゾマーCEO、ヤマト運輸の栗栖利蔵社長、ヤマトホールディングスの長尾裕社長
  • ヤマトホールディングスの長尾裕社長
  • ヤマト運輸の栗栖利蔵社長
  • ストリートスクーターのイエルグ・ゾマーCEO
  • ヤマト運輸が2020年1月から導入する小型商用EVトラック
  • 小型商用EVトラックの運転席
  • ドイツ製の充電器で充電する様子

ヤマト運輸は11月19日、東京都世田谷区の東宝スタジオで記者会見を行い、日本初の小型商用電動トラック(EV)をドイチェポストDHLグループ傘下のストリートスクーターと共同開発した発表。その車両を披露した。

「2年前の夏にドイツDHLが採用している実車を初めて試乗し、そこから共同開発がスタートして、当社仕様に仕上げた。今回の電動トラックの導入は、当社が進めているラストワンマイル領域におけるCO2の削減に大きく貢献できると考えている。そして、このクルマは働き手であるセールスドライバーの立場に立ってつくられたクルマで、普通免許で乗ることができる。まさに今われわれの業界が直面している課題の解決につながっていく」とヤマトホールディングスの長尾裕社長は話す。

全長4700mm、全幅2250mm、全高2250mmで、ミニバンとほぼ同じ大きさで、荷物を出し入れしやすいように荷室までの高さを900mmにして、後部と両サイドにドアをつけた。そのドアはクルマが走り出すと自動的に施錠される。

左ハンドルから右ハンドルに切り替え、エアコンの装備、冷凍・冷蔵室の設置し、バッテリーの容量も増やした。また、ドライバーが乗り降りしやすく、身体への負担を低減した運転シートの採用、キーを操作せずに運転席、荷室の施錠開錠ができるキーレスエントリーで、車両の死角を360度解消するマルチビューモニターも装備した。

バッテリーはリチウムイオンで、6時間の普通充電で約100km走行できる。走行距離が短いと思うかもしれないが、都市部のヤマト運輸の集配車平均走行距離が40kmなので大丈夫とのことだ。夜中の安い電力を利用して充電し、日中にこのEVを稼働させるわけだ。

「ヤマト運輸は全国に約4万台の車両を保有している。それらのクルマが生活の場で走っていることで、大気汚染につながっているとすれば、ぜひとも解決にしなければならない。その一つの解決法がこのEVの導入だ。さらにこのEV車にはもう一つの役割がある。物流業界は2025年に49万人の人手不足になると予想されている。このEV車は誰でもが扱いやすい工夫を凝らし、幅広い層の求人に応えられる車両だと考えている」とヤマト運輸の栗栖利蔵社長は説明する。

一方、ストリートスクーターのイエルグ・ゾマーCEOは「ヤマト運輸がラストワンマイルネットワークの持続的な再構築に向けて、私たちの電気自動車を使用することを非常に嬉しく思う。ヤマト運輸との親密なパートナーシップが、日本の自動車市場へ電気自動車を推進していく1歩になる」と今後の展開を期待する。そして同社は今後、この電動トラックの大型版も開発する計画だ。

ヤマト運輸ではこの電動トラックを2020年1月から東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏に順次導入し、4~5月までに500台を配備。その投資額は充電器を含めて40億円になるという。同社は2030年までに小型集配車両の半数に当たる約5000台をこのEVにする計画で、同時に次世代モビリティの開発や導入を積極的に進めていくそうだ。

《山田清志》

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