MaaS関連サービスを手掛けてきた実績、ビックデータでモビリティ分析…ヤフー データ統括本部 データソリューション事業部 竹田正樹氏[インタビュー]

ヤフー データ統轄本部 データソリューション事業部 データコラボレーション部 部長 竹田正樹氏
  • ヤフー データ統轄本部 データソリューション事業部 データコラボレーション部 部長 竹田正樹氏

ヤフーはMaaSに対してどのように捉えているのだろうか。ヤフーのデータ分析力で何ができるのだろうか。ヤフーデータ統轄本部データソリューション事業部データコラボレーション部部長の竹田正樹氏に聞いた。

MaaSの先進自治体や団体、企業が集まるネットワーキングセミナー第2弾は11月20日開催。詳細はこちらから

以前よりMaaSに関連するあらゆるサービスを提供

---:竹田さんはMaaSをどのように捉えていますか?

竹田氏:ヤフーのサービスにはニュース、天気・災害、ショッピング、PayPay、路線情報、地図、一休、一休レストラン、カーナビなど100を超えるサービスがあります。

このように地域版MaaSや観光版MaaSなど移動に関わるあらゆるサービスを以前から提供してきました。MaaSが注目キーワードになっていますが、特段MaaSに対して何か新しいことをするというよりも、提供させていただいているサービスをより良くすることだと私たちは考えています。

ヤフーは自動車の製造販売、鉄道や自動車を使ったサービス、ホテル経営、観光、飲食店など経営していません。これから各関係するステークホルダーの方々と連携してく姿勢は変わりません。

---:MaaSというキーワードが注目される以前から、マルチモーダル検索、経路検索などのサービスを提供されているので、そのサービスの向上あるいは高度化といったイメージなのでしょうね。

観光版MaaSやまちづくりの活用にも役立つ「検索」データ

---:MaaSに関連するあらゆるサービスを手掛けてこられたヤフーが提供する新たなサービスとは?

竹田氏:ヤフーのビッグデータや企業や自治体が持つデータを組合わせて、マーケティング支援、まちづくりや研究開発支援に役立てていただき、日本を元気にしていくデータソリューション事業をはじめました。

ベースにあるのがマルチビッグデータです。ヤフーの検索、ニュース、天気・災害、ショッピング、路線情報、地図、カーナビなどの「検索」結果から得られるビックデータを企業の商品開発、マーケティング、自治体のまちづくりなど様々なことに活用していただきたいと思っています。

観光ルートづくりや渋滞対策などにも

---:2019年9月14日に九州産交グループが行った熊本県全域で行ったバス・電車の無料実証実験では、熊本市中心部へのバス・市電・鉄道利用者が前週比2.5倍となる結果に終わり、非常に注目されました。ヤフーも参画されたようですが、どんなデータを使い、何が分析できたのでしょうか?

竹田氏:九州産交グループからのお声掛けで無料の日の実証実験の効果分析をすることになりました。効果分析は、ヤフーのデータソリューションの実証実験として、トラフィックブレインと熊本市が企画支援、熊本大学が技術監修を担いました。

使ったデータ、位置情報を活用すると、アプリユーザーがどのように移動したのかが分かります。

その結果を活用して、無料実証実験を実施した日と実施していない日を比較することができます。また発生した渋滞混雑なども可視化することができます。

今回の実証実験の検証ポイントは、公共交通の利用促進、中心市街地のにぎわいの創出、移動の活性化でした。

これから、このように地域ごとの課題解決にデータを活用していくニーズは増えていくと考えています。ヤフーの得意とすることは、今どのような状況になっているのかを把握する「現状理解」、過去の情報などを使ってパターンを見つけて「対策や予測」、観光ルートやチケットの企画などの商品づくりの「企画支援」などで、ヤフーのビッグデータと交通事業者や自治体が持つデータを組み合わるといろいろなことが可能となります。

---:ビッグデータ活用の知識やスキルがなくても御社と仕事はできますか?

竹田氏:ビッグデータ活用のスキルがなくても問題ありません。自治体やモビリティ関連企業の方々との連携に力を入れていきたいと考えています。ニーズに応じた支援の仕方を検討していますので、気軽にお問合せいただけたらと思います。

「検索のトレンド」「移動のトレンド」を見える化

---:2019年10月31日から開始した、ヤフーのビックデータを企業や自治体がブラウザー上で調査・分析できるサービス「DS.INSIGHT(ディーエスインサイト)」とデータ分析・コンサルティングサービスの「DS.ANALYSIS(ディーエスアナリシス)とは?

竹田氏:「DS.INSIGHT」ではビックデータを使って「検索のトレンド」「移動のトレンド」の2つを見える化しています。

DS.INSIGHTに「ダイハツ」と入れると、「タント」「軽自動車」といったようにひもづくキーワードを抽出することができます。地域別、車種別、テーマ別、性別などに分析ができますので、研究や商品開発、商圏分析、マーケティングに活用することができます。

「羽田空港」と検索すると「リムジンバス」「レストラン」「お土産」「駐車場」「ホテル」と関連するキーワードが見える化できるので、羽田空港を利用しようと想定されるユーザーが、何を求めているのかニーズが見えてきます。航空券のチケットの販売などに役立っていただいています。

---:こんな風に検索結果が見える化できるんですね。大変おもしろいです。みんなが日常的に検索している検索結果のデータで見える化できると、自分とは違う感覚であっても、説得力がありますね。

竹田氏:東京・紀尾井町のヤフー本社(最寄り駅 東京メトロ永田町)17階のDS.LAB(ディーエスラボ)では、DS.INSIGHTを無料で体験していただけます。ネットで登録していただきお越しください。

---:人は目的があって移動するので、MaaSを検討していくためにも、人のニーズを把握する必要がありますね。

ヤフー以外の方が使えるフリースペースの隣にあって、気軽に体験することができるので、自治体、移動手段、観光などに関係する東京に出張した際に立ち寄ってみるとよいですね。

MaaSの先進自治体や団体、企業が集まるネットワーキングセミナー第2弾は11月20日開催。詳細はこちらから

《楠田悦子》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集