【ホンダ フリード 新型試乗】コンパクトながら十分な車内空間はマジックのよう…島崎七生人

ホンダ・フリード・クロスター
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ちょうどいい…。未だに『フリード』に接すると、2008年に初代が登場した際のTVCMでショーン・レノンが言っていたあのセリフが脳裏に浮かぶ。が、まんざら今でも通用しなくもないというより、2代目の現行車で“ちょうどよさ”の腕前がますます上がった。

新グレード「クロスター」に試乗

試乗車は今年10月のマイナーチェンジで追加された「クロスター」だった。『フリード』『フリード+』のどちらにも新設定されたグレードで、その名のとおりクロスオーバー風味で外観を仕立てたのが特徴。ただし最低地上高(4WD=150mm、FF=135mm)は標準車と変わらず、全高も数値上+25mmだが、これはルーフレール分だ。フロントグリル、前後バンパー、アルミホイールのデザインを変え、ドアハンドル、サイドミラーハウジングをシルバーにするなど、外観を軽く専用化。

ホンダ・フリード・クロスターホンダ・フリード・クロスター

インテリアではプライウッド調の加飾パネル、汚れが目立ちにくいデジタル柄の専用コンビシートの採用などで他グレードとの差別化を図っている。なおこの「クロスター」にはハイブリッドとガソリン車の設定がありいずれもFFと4WDを用意。すべて6シーターの設定になっている。試乗車はハイブリッドのFFで車重は1430kg(試乗車の車検証の記載は1440kg)の仕様だった。

ホンダ・フリード・クロスターホンダ・フリード・クロスター

“ちょうどよさ”を計測! 快適な車内空間も魅力

さて『フリード』自体の試乗は久しぶりだったが、改めて実感したのは、まさに“取り回しも走りも快適性も実用性も日常生活にも、ちょうどいい”ということ。ちょうどよさを数値化しておこうとイロイロ計測してみたが、たとえば後席用のスライドドアは、床面までおよそ36cmと乗降が楽な高さで、ドア開口部も高さ116cm、幅65cmと、コンパクトなクルマながら十分なゆとり。バックドアも扱いやすく、開口部の天地は112cmあり、横幅も最大で108cm、サードシートは左右にハネ上げて格納する方式で、その状態でも67cmのクリアランスが確保されている。1、2列目のセパレートシートの間隔は1列目17.5cm、2列目20cmほど。この室内中央を前後に貫く空間に長尺モノを載せるとしたら、267cmほどの長さまでいける(寸法の数値は、いずれもレポーターが試乗時に自分で計測したもの)。

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またマジックのようだが、全長4265mmのコンパクトなボディながら、6名(あるいは仕様により7名)が十分に快適に過ごせる空間が構築されている点もこのクルマの魅力。3列目はシート座面の前後長こそ必要最小限だが、座面のフロアからの高さは頑張って取られているし、リクライニングを少し倒せば、大人でも頭上、膝前に空間ができる。そのポジションから“後ろ合わせ”で2列目を設定してみても、決して窮屈な思いはしないで済む乗車姿勢がとれる。4人家族の日常はもちろん、+祖父母といったシーンでも通用するのはかなり重宝するはずだ。

気負わず運転でき、走行中の快適性も高い

そして、気負わず運転できるのもこのクルマの魅力だ。サッと乗り込める運転席からの視界は広く、最小回転半径は5.2mだから、狭い場所やスーパーの駐車場で臆することなく扱える。さらに今回の試乗で認識を新たにしたのが、走行中の快適性がかなり高いということ。あるいはデビュー当時から改良が入ったのかも知れないが、乗り味がしっとりした印象で、高速走行でも煽られずフラットで重厚なのがいい。またステアリングフィールもしっかりとしたタッチで、1~2クラス上のクルマのような落ち着いた走りが実感できる。

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ハイブリッドは1.5リットルエンジン+7速DCTとモーターを組み合わせたシステムだが、全体に走りのスムースさに磨きがかかった。ガソリン車にはCVTでより快適に走れるよう、下り坂やコーナー手前のブレーキングでエンジンブレーキを効かせる“ステップダウン制御”を新採用しているが、コチラのハイブリッドでは7速DCTの組み合わせで、加・減速時にドライバーの感覚と齟齬(齟齬)がない、ストレスフリーの自然なマナーを実現している。安全運転支援システムのHonda SENSING(ホンダセンシング)も後方誤発進抑制機能が追加され“全適”(全タイプ標準装備)になっている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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