「所有」から「利用」へ…バイクメーカーのヤマハが「キャンプ用品レンタル」を始めた理由

ヤマハがバイクレンタルの次に仕掛ける「キャンプ用品レンタル」のねらいとは
  • ヤマハがバイクレンタルの次に仕掛ける「キャンプ用品レンタル」のねらいとは
  • ヤマハ発動機販売・広報・商品企画グループの井下田憲弘さん
  • ヤマハの「キャンプ用品レンタル」でレンタルすることができるツーリングキャンプセット
  • ヤマハの「キャンプ用品レンタル」でレンタルすることができるツーリングキャンプセット
  • テントや寝袋などソロキャンプに必要な用品一式を揃える
  • ツーリングキャンプセット
  • ヤマハ発動機販売・広報・商品企画グループの井下田憲弘さんとツーリングキャンプセット
  • ヤマハ『セロー』に取り付けたツーリングキャンプセット

「所有」から「利用」へ。クルマやファッションをはじめ、様々なモノの消費のあり方が変わろうとしている。販売減少に歯止めが効かないバイク業界では、バイクレンタルやサブスクリプション(定額利用)など新たなバイクとユーザーとの接点を模索している。

メーカーとしていち早く「利用」に目をつけたのがヤマハだ。「新たな『需要創造』活動」として、2018年10月より全国39店舗(2019年8月31日現在)のヤマハ店で、国内メーカー初のバイクレンタル事業を開始。また2019年5月には、メーカーを横断した月額制のバイク貸出サービス「月極ライダー」を立ち上げた(※埼玉限定)。1メーカーとしての販売台数を追うのではなく「バイク市場そのものの活性化」がねらいだ。

こうした取り組みは、バイクユーザーの若返りにも一定の効果を見せている。ヤマハによると、バイクレンタルの会員登録者にはいわゆるリターンライダーも少なくないそうだが、その平均年齢は45歳で、バイク購入者と比べて約10歳若いのだという。また、利用者の半数がバイクを所有していない人たちで占められてるそうだ。

ツーリングキャンプセット
そんなヤマハがバイクレンタルの新たな取り組みとして9月よりサービスを開始(2020年2月まで)したのが、「キャンプ用品レンタル」だ。キャンプ用品レンタルをおこなうTENTALとタイアップし、テントや寝袋などソロキャンプに必要な用品一式を「ツーリングキャンプセット」として用意した。価格は24時間1万円で、以降は24時間毎に3000円(車両のレンタル料とは別)。

現在は実験的な取り組みということで、実施店は青森、仙台、西東京、福山、大分のYSP 5店舗に限られるが、利用状況を見てサービス、エリアの拡大を視野に入れている。また、現在は『セロー』とのセットだが、車種の拡大も検討しているそうだ。

ソロキャンプ需要は増えている

ヤマハ発動機販売・広報・商品企画グループの井下田憲弘さん
ヤマハがキャンプ用品レンタルをおこなうねらいは「2つある」と、仕掛け人であるヤマハ発動機販売の井下田憲弘さんは話す。

「ひとつは、我々がお客様とコミュニケーションする中でまだまだ『バイクをレンタルする』ということがスタンダードになっていないと感じています。その心のハードルを超えてもらうためには、『利用シーンを想起させる』ことが重要だと考えています。バイクをレンタルする方々は、購入するために乗ってみる、のではなく『バイクを使って何かがしたい』方々なんです。バイクのその先にあるものを求めているということです。だからこそ、バイクとの親和性があるものを組み合わせたかった」

そこで、なぜキャンプ用品だったのか。

「それが2つめの答えなんですが、今、オートキャンプの人口が増加しているというデータがあるんです。その中でも『ソロキャンパーが増えている』というのが近年の傾向としてありまして、オートキャンプ場の運営者からもそのような声を聞いています。これはバイクだけでなく、軽自動車でのソロキャンパーも増えているという側面があるんですが、全体の需要は確実に増えている。さらにその中でキャンプ用品をレンタルする人たちがおよそ15%いて、もともとバイクとキャンプの親和性は高いですので、一定数のレンタルニーズは存在するだろう、というのがサービスのねらいです」

キャンプ用品を一式揃えるとなれば、それなりに金額がかさむ。「もともと移動手段を持っている人でも、1回のキャンプでおよそ2万5000円~3万円くらいを使う」(井下田さん)という。また、アウトドアで使用するものなので汚れを落としたり乾かしたりと、楽しんだ後のメンテナンスも必要だ。レンタルであればその面倒も少なくてすむ。トータルコストと手間を考えればお得、というのが価格設定に反映されている。

ツーリングキャンプセット

人とバイクとの接点をつくる

バイクレンタルサービスは、メーカー、ショップ、あるいはレンタル専門業者と様々な企業が参入しつつある。その中でヤマハの強みはどこにあるのか。井下田さんは、「安心感」だと話す。ひとつは補償制度の充実だ。一般的な事故保険のほか、車両の修理費用も含まれる(免責金額あり。免除のオプションを別途設定)ほか、ロードサービスや現場応急対応サービスも用意する。10月1日からは、事故などで車両が利用できなくなった際に利用者負担となる営業補償も免除できる「安心補償プラス」のオプション設定や、ロードサービス適用範囲を拡大するなどサービスを充実させている。

ヤマハ『セロー』に取り付けたツーリングキャンプセット
さらに、「バイクメーカーであるヤマハが提供するものですので、バイクそのもののコンディションもしっかり整えてあります。ですので、お客様は安心してバイクの楽しさ、ツーリングの楽しさを存分に味わっていただけます」と語った。

1台でも多く売りたい、というのがメーカー、あるいは販売店の本音であるに違いないが、ヤマハはバイクを使うことで得られる気持ち良さや充実感、そうした歓びを提案していくことで、「まずは人とバイクとの接点をつくること」をめざす。井下田さんは、「ヤマハは“感動創造企業”を掲げています。いろんなきっかけを作りたい。その先にいる、ひとりでも多くの人にバイクの魅力を届けていけたら」と期待を込める。

ヤマハ発動機販売・広報・商品企画グループの井下田憲弘さんとツーリングキャンプセット

《宮崎壮人》

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