気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………
スズキにとっては、米GM、独VWという2度にわたる不本意な“国際離婚”を経験していただけに、今回、トヨタ自動車という頼もしいパートナーと金銭面でも関係を深められることは、今後、生き残るための大きな「後ろ盾」を得たことになるだろう。
トヨタ自動車とスズキが資本提携に関する合意書を締結したと発表した。“夏枯れ”なのか、お盆明けの各紙は発表記事が多く、独自ネタでの報道は少なかった。だが、読売は8月28日の夕刊に「トヨタ・スズキ資本提携」を特報。その後、両社が発表したことから、きょうの各紙も、読売をはじめ、朝日、毎日、日経の4紙が1面トップで大きく報じたほか、総合面や経済面には関連の解説記事を取り上げている。
各紙の解説記事をみると、毎日は「車変革 トヨタ危機感」「スズキ必然の選択」として、経営環境が激しく変化する中で、次世代の移動サービスなど新たな分野で相乗効果を生み出せるか、提携の成否が今後問われるなどと伝えている。
また、今回、資本提携に踏み込む背景には、日経によると「スズキ独自の事情もある」と指摘。「19年に新車を工場から出荷する前の完成車検査での不正を受けて、約200万台のリコールを発表。ずさんな検査体制の再構築に今後5年で1000億円規模の投資をする方針も打ち出した。資金需要は多方面で増えている」と取り上げている。
さらに、特報した読売は、スズキの鈴木修会長の興味深い発言を一問一答で掲載。このうち、資本提携に進んだ理由として鈴木会長が「今年の5月、トヨタの豊田章男社長と会って相談し、資本提携をお願いした」という。さらに、「研究開発分野でスズキは約1500億円で、大手は1兆円超ある。大同団結して共有化することでコストが下がる」とも。
両社は2016年10月に業務提携の検討を始めて以降、包括提携など段階的に連携を深めてきたが、今回、終身保険の掛け金のような株式を相互に持ち合うことで、これまでの付かず離れずの関係から、安易に逃げられないただならぬ関係に発展することになる。
2019年8月29日付
●トヨタ・スズキ資本提携発表、自動運転開発共有へ(読売・1面)
●FICADアフリカ民間投資促進(読売・1面)
●EV普及目指し割安時間に充電、経産省(読売・7面)
●「虎ノ門ヒルズ駅」公開、工事着々来年開業予定(毎日・21面)
●ガソリン143円台半年ぶりの安値、5週連続値下がり(東京・6面)
●幼児送迎バスけがする恐れ、トヨタ、無償修理届け出(東京・26面)
●JR東とANA、Maasで連携(日経・15面)
●東京メトロ、五輪期間「22時間運行」(日経・39面)