【MaaS】神戸のオールドニュータウン問題とエコシステム…株式会社日本総合研究所 次世代交通チームリーダー 武藤一浩氏[インタビュー]

【MaaS】神戸のオールドニュータウン問題とエコシステム…株式会社日本総合研究所 次世代交通チームリーダー 武藤一浩氏[インタビュー]
  • 【MaaS】神戸のオールドニュータウン問題とエコシステム…株式会社日本総合研究所 次世代交通チームリーダー 武藤一浩氏[インタビュー]

MaaSに欠かせないのが地域の住民・企業・自治体などとのコミュニケーションだ。そして連携して同じ目標に向かう運動体「エコシステム」を構築できるかが要となる。

補助金を得て実証実験をはじめたが地元に根付かず終了した実証実験を数多く見てきた。特に縁やゆかりのない民間企業が地域に入り込みプロジェクトを育てていくのは非常に難しい。

民間企業で社会課題の解決に関するプロジェクト「まちなか自動移動サービス」を、神戸市北区の筑紫が丘(国土交通省の日本版MaaSの展開に向けた新モビリティサービスの先行モデル事業に選定)で仲間づくりをしながらうまく進める企業がある。シンクタンク、コンサルティング、ITソリューションを主な事業とする日本総研だ。神戸市からプロジェクトの委託を受けたわけではない。日本総研からプロジェクトを持ち込み、市からフィールドを提供してもらい2016年から、高齢化したニュータウンの移動問題と向き合っている。筑紫が丘自治会の地域住民ともに良好な関係を築きながら進めている。

人口減少とニーズが多様化するなか自治体は民間企業と連携しながら生活サービスを充実させていく必要がある。今後どのようなサービスが手薄になるか先読みして企業との連携を進めるなど対応していく必要がある。社会課題に向き合う企業の立ち振る舞い方と神戸市と民間企業との連携について神戸市筑紫が丘の事例は参考になりそうだ。

神戸市筑紫が丘のプロジェクトで日本総研とともに動くバス事業者「みなと観光バス」も注目だ。代表取締役社長の松本浩之氏は“アイディアマン”でこれまでバス業界であっと一目置かれる新しい取組みにチャレンジしてきた。地域のニーズを吸い上げ走らせている、住吉台くるくるバスやこれからのバス事業を鑑みバス位置の見える化(バスロケーションサービス)、自動運転、AI、ビックデータ活用などを積極的な攻めの動きをとっている。多くのバス会社は自動運転の実証実験に対しては受け身であるなか、非常にめずらしいバス会社だ。

神戸市筑紫が丘のMaaSの実証実験はこれまで進めてきた自動運転の実証実験をベースに、個人情報にひもづく情報を信託され、その管理や適切な事業者への販売を請け負う仕組み「情報銀行」の考え方をのせていく点がユニークだ。

また2020年からは名古屋大学IOC(グループリーダー:森川高行教授)で開発中の「ゆっくり自動運転」の実証実験も行う予定だ。ゆっくり自動運転は、誘導線方式を使ったゴルフカートの自動運転ではなく、ライダーと3次元地図を使って自己位置を推定して走る日本初のゴルフカートだ。

このように神戸に人と技術が集まりつつある。神戸筑紫が丘の「まちなか自動移動サービス」について日本総合研究所創発戦略センターシニアマネジャー次世代交通チームリーダーの武藤一浩氏に聞いた。

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民間主導で

---:神戸にはJR、阪急電鉄、阪神電鉄、神戸電鉄、市営地下鉄などが走っていて東西移動は非常に便利です。1995年1月に発生した阪神淡路大震災の復興フェーズから抜け出し、三宮駅前の再開発など新たな取組みが数多くはじまっていて、これから楽しみな地域です。

一方で六甲山脈の海側、山側の丘陵地を住宅地として開発し、その土砂を臨海部に埋め立てて、1960年代ごろから大規模ニュータウンの開発が数多く進み、オールドニュータウン化や人口減少・高齢化問題がありますね。神戸も横浜も海に面した美しい街ですが急な坂があり、移動の問題が多い地域でもあります。

筑紫が丘の「まちなか自動移動サービス」の経緯は?

武藤氏:日本総研調べで、全国のニータウンのなかで市が主導して丘陵地ニュータウンを最も多く開発したのは神戸市でした。当社としても移動に関する社会問題に対して問題意識がありました。2013年に一緒に問題解決に向けて動かないかと神戸市に提案させていただきました。神戸市よりいろいろな地域を紹介いただき筑紫が丘に行き着きました。

神戸市は条例で、三宮が大阪近郊のベットタウンにならないよう、市内のオールドニュータウンの人口増へつながる政策に力を入れながら再生していくために「三宮は高層マンションを建てない」という条例を定めました。このような政策とも関連付けながら政策として連携してくださっています。

住民参画を大切に

武藤氏:筑紫が丘では、2016年度から活動しています。住民参画を大切にしていて、筑紫が丘周辺の住民の方と動いています。2017年度に自動運転車両を導入してサービスを検討し始めました。

そして2018年度から「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム」を立ち上げました。2018年度の一般会員は、あいおいニッセイ同和損害保険、NTTデータ、沖電気工業、関西電力、電通、ダイハツ、丸紅、大手通信会社など、オブザーバーは日本自動車研究所、協力会員は神戸市、筑紫が丘自治会、みなと観光バスなど。

2019年度はこれからキックオフをする予定です。これからキックオフするところですので、参画してくださる企業があれば一緒に汗をかきたいと思っています。

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《楠田悦子》

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