トヨタ寺師副社長、日本向け超小型車などEV戦略を公表…電動車550万台販売は5年前倒しの25年に

トヨタの超小型EVのコンセプト『i RIDE』
  • トヨタの超小型EVのコンセプト『i RIDE』
  • トヨタ 寺師茂樹副社長
  • トヨタが開発中のEVのクレイモデル

トヨタ自動車の寺師茂樹副社長は6月7日に都内で記者会見し、電気自動車(EV)普及の一環として2020年に日本で2人乗りの超小型モデルを市販すると発表した。また、電動車全体の普及計画も従来より5年前倒しになる見通しを示した。

発売する超小型のEVは、2017年の東京モーターショーにコンセプトとして出品した『i RIDE』をベースとするもので、全長約2.5m、全幅約1.3mと軽自動車よりひと回り小さい。最高速は60km/h、1充電での走行距離は100kmであり、トヨタは、一般向けには買い物などの近距離移動、業務用は巡回・訪問サービスなどを想定している。また、20年には1人乗りの立ち乗りEVの発売も計画している。

一方、グローバルでは20年に中国で『C-HR』ベースのEVを2車種投入するのをはじめ、20年代前半に10モデル以上を売りだす方針だ。車種もコンパクトからミディアムのSUVやセダン、さらにラージSUVに至るまで、当面、6つのバリエーションを展開する。商品化では提携先のSUBARU(スバル)やスズキ、子会社のダイハツ工業などとの共同開発も進める。7日の会見場には、開発中のEVのクレイモデル群も展示した。

寺師副社長は、EVの普及に向けては、車両開発にとどまらず「やることがたくさんある」と指摘し、電池の安定供給(調達)や耐久性の向上、車両での使用後のリーユースシステムの構築―などを挙げた。このため、トヨタとしては「これまで以上に幅広くオープンに仲間づくりを進め、課題への取り組みを加速させたい」と強調した。

その一環として、電池については、これまでの自社開発およびパナソニックとの協業をベースにしながら、世界最大のバッテリーメーカーである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)をはじめ、同国のBYD、日本のGSユアサ、東芝、豊田自動織機とも協力関係を構築していく方針を示した。

寺師副社長はまた、トヨタが17年末に公表していたハイブリッド車(HV)などを含む電動車全体の普及計画について、同社の世界販売の半数を電動車とする計画は従来の30年から25年に5年ほど前倒しになるとの見通しも表明した。世界で、自動車メーカーごとの燃費や排ガスを総量規制するCAFE規制が導入されるなど、環境対応がより厳しく求められているからだ。

トヨタはこれまで、30年までに電動車の年間販売を550万台以上とする方針を掲げてきた。内訳はHVとプラグインハイブリッド車(PHV)で450万台、EVと燃料電池車(FCV)で100万台と見込んでいた。寺師副社長は、5年先行して550万台の販売になるのは「欧州などでHVの販売が増えているから」と指摘した。また、25年時点でEVの販売規模は「100万台には届かないのではないか」との見方を示した。

《池原照雄》

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