中国自動車市場のマイナス成長は一時的なもの…独ZFは、引き続き積極的に投資

ZFブース(上海モーターショー2019)
  • ZFブース(上海モーターショー2019)
  • ZFのヴォルフヘニング・シャイダーCEO
  • ZFブース(上海モーターショー2019)
  • ZFブース(上海モーターショー2019)

中国で上海モーターショー2019が開幕。一般公開に先立ち、4月16日・17日の2日間は報道関係者向けのプレスデイとして各社による記者会見が行われている。日本、欧州や地元・中国の完成車メーカーが同市場向けのワールドプレミア(世界初公開)を行う中、部品サプライヤーも世界各国から出展している。デンソー、カルソニックカンセイ、アイシンなどの日本企業が記者会見をプレスデイ2日目に行うため、初日は欧州系部品メーカーの発表が目立った。

先ごろ大型商用車向けブレーキ大手のWABCO買収計画を発表し、売り上げ規模ではデンソーなどと並び「メガサプライヤー」の一角を占めるようになったドイツのZF(ZFフリードリヒスハーフェン社)。ZFはこの上海モーターショーで、2021年から量産を開始する「ZF coPILOT(コパイロット=副操縦士)」のワールドプレミアを行った。車載AIである「ZF ProAI」の第2世代を、NVIDIAの「DRIVE Level 2+」ソフトウェアと組み合わせ、現状の交通法規の範囲内で最も進んだADAS(先進運転支援システム)を実現するソリューションである。

ZFの2018年におけるグローバルでの連結売上高369億ユーロのうち、アジア太平洋地域が約22%(80億ユーロ)を占めている。これを今後30%まで引き上げることを目標とする同社にとって、現状でも60億ユーロ以上を売り上げる中国は最重要市場であり、最新の部分自動運転システム発表の場に上海が選ばれたのもうなずける。しかしながら、昨年の中国における自動車販売台数は中盤から減少傾向を見せ、通年でも前年比2.8%のマイナスを記録した。急成長を遂げてきた中国自動車マーケットだが、先行きの不透明さが感じられる様になってきた。今や、日本の完成車メーカーやサプライヤーにとっても生命線である中国市場。その動向について、ZFのヴォルフヘニング・シャイダーCEOはあくまでポジティブだ。

「昨年一年に限った短期的な停滞と分析しており、今年中に(需要は)回復すると考えています。中国市場は規模が大きく、モビリティへのニーズも高く、依然として非常に大きなポテンシャルをもっています。我が社は自信をもって積極的な投資を継続していきます」。

現在ZFは、中国の24都市で32の生産工場が稼働している。また、上海にある2か所の開発センターに加え、新たな研究開発施設の建設も計画しているそうだ。張家港市(Zhangjiagang)に新設された電動パワーステアリングの工場は、フル稼働時には同社のステアリング生産拠点としては世界最大規模となる。さらに杭州市(Hangzhou)でも、2020年3月までに電動アクスルの量産が開始される予定だという。

レクサスや日産なども中国市場専用と見られるニューモデルを発表し、依然、盛り上がりを見せている上海モーターショー。ZFの分析通り、中国市場の勢いが回復するかどうか、日本の自動車業界としても大いに気になるところだろう。

《石川徹》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集