【ブリヂストン レグノGR-XII 試乗】摩耗しても静粛性をキープ、セダンはもちろんコンパクトカーへの装着もアリ…齋藤聡

ブリヂストン レグノ GR-XII 試乗会
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  • ブリヂストン レグノ(REGNO)GR-XII
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ブリヂストンのプレミアムコンフォートタイヤ『レグノ(REGNO)GR-XII』は、一見すると先代『GR-XI』と顔つき(トレッドデザイン)がよく似ており、マイナーチェンジか? と思えるが、タイヤの断面形状から異なる新設計で、これまで培ってきた技術を駆使して細部に至るまで手を加え、文字通り性能をブラッシュアップしている。

新技術を投入し静粛性を向上

トレッドデザインは、4本の縦溝を基調にした5リブデザインが基本。ただし185サイズ以下はセンターリブ(ブロック列)をなくした3本溝4リブデザインを採用。特長はトレッドセカンドリブに「ダブルブランチ型消音器」の機能を持った溝が配置されていること。これによってタイヤの縦溝を空気が通るときに起こるノイズ(気柱共鳴音)を大幅に低減し静粛性を向上することに成功したという。

興味深いのは、この消音器は摩耗すると溝が太くなるように作られており、摩耗時の空気室容量を確保して、静粛性の高さを持続させる工夫が凝らされている。また、タイヤ両サイドのブロック列=ショルダーブロックのサイプ(極細溝)には、サイプの一番底の部分少し太くなっていて、ここにも小さな気室を作ることで空気の振動を分散させ音圧を下げる≒静粛性を高める働きを持たせている。ノイズは一種の振動なので、その振動を抑えるため、タイヤ側面には3Dノイズカットデザインと名付けられた振動分散のためのデザインも施された。

構造面でも、キャップと呼ばれる、樽でいうタガに当たる部分にノイズ吸収シートを全面に巻きノイズの低減をはかっており、さらにシートの両端に振動や発熱を抑える目的で、キャップレイヤーと呼ばれる補強材を貼っている。これらの技術を盛り込み、テストを繰り返しながら性能を整え、静粛性アップを果たしたのだという。

静かでしっとりとした乗り心地

乗り心地については、タイヤプロファイル(≒断面形状)をランドタイプ(なだらかな山型)にすることで、接地時の反発を滑らかにする工夫が施されている。これによって、突起の乗り越え時のショックが従来に比べさらに緩和した。

コンパウンドも進化している。「ナノプロテック」というブリヂストン独自のコンパウンド設計技術を駆使して低燃費性とライフとウエット性能を高次元でバランス。ウエット向上ポリマー(ゴム)と低転がり性能特化ポリマーを使い、これに微粒子シリカを効率よく結びつけることでエネルギーロスを低減し合わせて耐摩耗性とウエットグリップ性能を確保した。ちなみに先代GR-XIとの比較で、転がり抵抗を14%低減しながらロングライフ性は6%向上しているという。

試乗した際のファーストインプレッションは、「静かでやさしい乗り心地だなあ」ということだった。タイヤが転がっていく時の転動感がマイルドで、ゴツゴツザラザラしたところがないのだ。タイヤプロファイルの変更が効いているのだろう。またゴムの柔軟性(エンベロープ性能)も先代より柔軟になっているようで、しっとりした乗り味を作り出す要因になっていると感じた。

意外なほどに良いコンパクトカーとの相性

まず試すことができたのが静粛性の比較試乗だ。トヨタ『クラウン』を使って新品と60%摩耗時の違い、60%摩耗の新旧比較(GR-XIIとGR-XI)を行った。意外だったのは、新品と60%摩耗でノイズにそれほど大きな変化がなかったこと。耳を澄ましていないと判らないくらいの差だった。逆に60%摩耗の新旧比較は、旧型も静かなレベルにはあるのだが、その差はかなりわかりやすかった。新型は60%摩耗してもまだ消音器が機能しているので、その違いがはっきり現れたのだろう。

一般道は、メルセデスベンツ『Eクラス(E200)』とクラウン ハイブリッドで試乗することができた。Eクラスは、乗り味がよりしっとりして、高級感が増した印象。クラウンは新型になって若作りなスポーティセダンといった味付けになっているがGR-XIIを履くと、全体にマイルドで穏やかなライド感になった。しかも静かだと思っていたクラウンがさらに静かになり、特にモーター走行領域ではタイヤの転動音はするもののノイズといった感覚が希薄で、改めて新型レグノの静粛性へのこだわりを感じた。高速道路は、Eクラスで試してみた。シャキッとした切れ味は若干薄れるが、その分しっとりとしりした乗り味になっている。

もう1つ、これはアリだと思ったのが、コンパクトカーへの装着。コンパクトカーとの相性が意外なほど良いのだ。ホンダ『フィット』で特設のハンドリングコースを使ってブリヂストンのスタンダードタイヤである『エコピア(ECOPIA) NH100』と乗り比べてみたのだが、突起の乗り越えが明らかにマイルドだし、ハンドルを切った時に出るジャーとかゴーといったノイズもぐっと少なくなっている。そもそもタイヤが転がっていく時の感触がグッとマイルドになっていて心地よさ3割アップといった感じ。コンパクトカーをグレードアップするのに、もっとも手っ取り早く効果のあるチューニングがタイヤ交換だ。

今回新型レグノGR-XIIに乗って改めて感じたのが、静粛性と乗り心地はかなり深くその関係性がリンクしているなあということ。静かさとマイルドな、あるいはしっとりした乗り心地が揃うことで相乗効果が生まれ、快適性はさらに良く感じられる。そう思わされるくらいGR-XIIは静粛性と乗り心地のバランスが良かった。

齋藤聡氏

齋藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

《斎藤聡》

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