叩けば出るゴーン会長の“ホコリ”…社費で4か国に豪華私邸、部下の役員報酬ピンハネも?[新聞ウォッチ]

ゴーン容疑者
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  • 日産の株価(11月20日) (c) Getty Images

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2018年11月21日付

●ゴーン容疑者、直近3年分も過少記載か、役員報酬、差額計30億円、ゴーン容疑者(読売・1面)

●日産、経営体制刷新へ、株主総会、前倒し検討(読売・1面)

●3社連合の行方不透明、ルノー後任、ボレロ氏軸に(読売・2面)

●日産株5%急落、ルノー株大幅続落(読売・9面)

●日産法人も立件へ、ゴーン会長報酬過少記載容疑、住宅購入数十億円支出か(朝日・1面)

●三菱電機ゴム部品で不正、鉄道車両向けなど、子会社が品質検査せず(朝日・3面)

●ゴーン経営尻つぼみ、日産、EV苦戦目標未達(朝日・8面)

●他役員の報酬、付け替えか、ゴーン会長、配分権握る(毎日・1面)

●ホンダ販売店が「やったぜ日産」従業員ツイート(毎日・27面)

●不正な投資資金支出、ゴーン容疑者是正を拒否、数年前監視委指摘で日産要求(産経・1面)

●ゴーン容疑者、年10億円報酬還流疑い、海外住宅も利益供与か(東京・1面)

●40億円分は株価連動報酬、ゴーン会長50億円不正(日経・19面)

ひとくちコメント

何とも驚くばかりである。叩けばホコリが出るというように、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された日産自動車のカルロス・ゴーン会長の長きにわたる金銭欲にからむ悪事が次々に発覚している。

一夜が明けたきょうの各紙も「ゴーン容疑者」関連の記事が引き続き1面トップのほか、経済面や社会面、それに社説などでも取り上げている。企業トップの不正事件で全国紙が2日連続で1面トップ記事として報じるのも珍しい。このうち、朝日は「日産法人も立件へ」とのタイトルで、「特捜部は法人の責任も重視。法人も罰する『両罰規定』の適用に向けて捜査を進める」と報じている。

また、東京のトップ記事は「年10億円報酬還流疑い、海外住宅も利益供与か」。他紙も社会面などで報じているが、海外子会社の資金を使って、ブラジル・リオデジャネイロの高級マンション、レバノン・ベイルートのほか、フランス・パリ、オランダ・アムステルダムに高級住宅を相次いで購入。無償で自宅として利用していたことが発覚したという。

さらに興味深いのは、毎日が1面トップで報じた「他役員の報酬付け替えか」という疑惑。記事によると、日産の取締役に支払われた報酬の総額は毎年約30億円と株主総会で承認されていたが、実際に取締役に支払われた報酬は、承認された額より毎年約10億円少なく、ゴーン容疑者には承認額の分配を決める権限があったといい、他の取締役に支払われなかった報酬の一部がゴーン容疑者に流れていた疑いがあるという。東京地検特捜部は会社資金の流れを追っているとも伝えている。

思えば、ある執行役員に報酬額を聞いたことがあるが「みなさんが想像しているほどではなく、恥ずかしくて金額も言えない」とこぼしていた。ゴーン会長への10億円は、部下たちの役員の報酬を一部を削り取って支払われたことが読み取れる。なかには不満を訴え、クビになった役員も少なくなかったという。ゴーン会長への“上納金”がある種の「踏み絵」にもなっていたようだ。

《福田俊之》

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