ブランドは一朝一夕にできるものではなく、歴史が作り上げるものだ。欧州のプレミアムブランドはどこもそれをきちんと理解していることだろう。なかでもモーターショーのブースにおける見せ方として、特にヒストリーを重視しているメーカーがポルシェだろう。
2018年のパリモーターショーにおけるポルシェの、ポルシェファンをその場から離させないハイライトはふたつあった。
ひとつは量産化を決定し、今回は市販に近いモデルの初展示となった『911スピードスター・コンセプト』のステージ。真っ赤なスピードスターを囲むのは、先輩にあたる930型の「911カレラ3.2スピードスター」と、大先輩にあたる『356スピードスター』。スピードスターがどれだけ伝統のあるモデルか誇示する展示だが、それよりも伝説のマシンを目の前に感動していたポルシェファンの多さが印象的だった。
もうひとつは、ポルシェの歴史に残るフラッグシップモデルの展示。「959」にはじまり「911GT1」「カレラGT」、そして「918ハイブリッド」とスーパーマシンたちが一堂に会していたのだ。記者もポルシェ好きのひとりとして、取材すべき対象がまだたくさん残っているのというのにその場で多くの時間を消費してしまった。まんまとポルシェの策にはまってしまったというわけだ。