そのレースはウエットコンディションで始まったが、30分ほどでドライコンディションに変わり、さらにレース中に何度となく雨が降るという難しいものとなった。一方で転倒者も相次いでセーフティカーが3回も介入するなど、近年の鈴鹿8耐では極めて荒れた展開。だが、レースが荒れれば荒れるほど、3連覇を達成して勝ち方を知っているYAMAHA FACTORY RACING TEAMはその強さを増していく。
スーパーバイク世界選手権で3連覇中のジョナサン・レイを擁するKawasaki Team GREENはガス欠さらには転倒で優勝争いから遅れ、10年ぶりに復活したTeam HRCのRed Bull Honda with 日本郵便は急きょチームに加わりマシンテストが十分に行えていないパトリック・ジェイコブセンをスクランブル発進させる状況に追い込まれた。対してYAMAHA FACTORY RACING TEAMは、天候の急変やセーフティカーの介入にも動じることなく着実に周回を積み重ねて見事4連覇を達成した。
ファン・デル・マークに促されて最終走者ローズのチェッカーの瞬間をツナギ姿で見届けた中須賀は「アレックスとマイケル、このすごすぎる2人のライダーに感謝の気持ちで一杯。このチームの一員であることを本当に誇りに思う。ただ、ライダーとして走れず、こんなに悔しい思いをしたのは初めて。来年は、このチームのライダーとして、再び力を合わせて戦いそして優勝したい」と語ったが、それはすなわちYAMAHA FACTORY RACING TEAMの鈴鹿8耐5連覇を意味しているのである。
《佐久間光政》