【グッドイヤー ベクター4シーズンズ 試乗】1/22のあの雪でも問題なし!都会住まいに自信を持ってお勧めします…中村孝仁

試乗記 国産車
グッドイヤー ベクター4シーズンズを履いたデミオで雪上を走った
  • グッドイヤー ベクター4シーズンズを履いたデミオで雪上を走った
  • グッドイヤー ベクター4シーズンズ
  • 案の定、ホイールはストの隙間が大きくなった
  • グッドイヤー ベクター4シーズンズ
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  • グッドイヤー ベクター4シーズンズ
  • グッドイヤー ベクター4シーズンズ
  • 元々装着していた夏用タイヤのサイズ

このところ長いこと、冬用タイヤに履き替えたことがない。つまり冬季は万一雪が降ったら、クルマの使用をあきらめていた。

理由は二つ。一つは雪に弱い都会はたとえ自分のクルマが走れても、絶望的な交通マヒが発生して満足に走ることが出来ないから。そしてもう一つが、単純かつ明快に取り換えるのが面倒だから。それに置き場所にも困るし…。きっと多くのユーザーは僕と同じような考えを持っているのではないかと思う。

そこに登場したのが、グッドイヤー『ベクター4シーズンズ』と言うタイヤ。これ、いわゆるオールシーズンタイヤで「M+S」の表示があるもの。しかし、このオールシーズンタイヤ、これまでは良い印象が全くなかった。というのも輸入されるアメリカ車はすべてこのオールシーズンと呼ばれるタイヤを履いていて、正直言えば従来品はオールシーズン・ダメ・タイヤで、ドライ路面の性能は低いし、雪など降ろうものなら、すぐにスタックするからろくなことはなかったのである。かつて僕が乗っていたキャデラックも、このオールシーズンタイヤだったが、雪が降ったら乗るのをあきらめていた。

そんなわけで、実は半信半疑でのテストだったわけである。ところが、実際に交換をしてくれたグッドイヤータイヤの卸元では「新潟まで営業車に履かせて行ったけど問題なし」との答え。しかも、もうすでに数万キロを走破しているけど凄まじく持ちがイイという。ホントか?とまあ、その話を聞いても半信半疑が晴れるわけではなかったのだが、では何故これを装着する気になったのか。それはこのタイヤがプジョー『2008』に標準装着されていて、少なくともマッド路面での走破性はかなりのものを持っていたからである。
案の定、ホイールはストの隙間が大きくなった
それにドライ路面でも十分快適。ならばうちの『デミオ』にも付けてみよう…ということになったわけである。しかし、装着時にひと問題勃発。我が家のデミオは「XDツーリング Lパッケージ」というグレード。これのタイヤサイズは185/60/R16。ところがベクター4シーズンズにこのサイズがない!デミオの場合ノーマルXD用の185/65/R15なら設定があるということで、致し方なく少し足元の印象が悪くなることを覚悟で存在するサイズのベクター4を装着した。

案の定、足元の印象は少し物足りなさを感じたが、装着後すぐに試乗にスタート。ところが、やはりというべきか当然というべきか、そのトレッドパターンの成せる業で、パターンノイズが結構室内に侵入する。それに乗り心地もやはりそれまで履いていたコンパクト車用に作られたブリジストン・プレイズと比較したら、これも当然というべきか、かなり硬さを感じさせる乗り味になっている。だからドライ路面の性能に関していえば、やはり決してこれで十分満足というレベルではない。ただし、性能面で言えば大きな落ち込みはなく、かつてアメリカ車に装着されていたオールシーズンとは話にならないレベルの進化を見せていて、コーナリング中にスキール音が発生するようなことはまずなく、音振及び乗り心地を除けば満足できるレベルにある。

そして1月22日。降ってくれましたよ。雪が。東京に。積雪量21cm。僕の住んでいる横浜市青葉区ではそれを遥かに上回る量が積もっていたはずで、ベクター4シーズンズのテストにはうってつけと、夜になって乗り出してみた。最初は恐る恐る。ところがガッチリとグリップするではありませんか。おかげで新雪の中をスイスイと走れる。それもほとんど雪を意識する必要がないレベルで。つまりドライ路面並のスピードを出しても大丈夫であった。

勿論下り坂とか少し凍結の入った場所では細心の注意を払う必要があるが、少なくともこのタイヤが付いていれば、万一の際にスタックする心配はまずなさそうである。だから、本当にオールシーズンで行ける。有難いことに路面が悪くなったおかげで、音振と乗り心地の心配もなくなった。さらに良いことは、このタイヤは一応スノーマークが付いていて、チェーン規制がかかってもそのまま走れるのだ。これは絶大の効果。今までのM+Sの場合、仮に走れたとしてもチェーン規制の場所は断念せざるを得なかったが、その心配がない。

冬場は常に雪…という降雪地帯は間違いなく氷上性能で上回るスタッドレスがマストだが、たまにしか降らない都会での雪に対応するにはこれで十分。しかも夏場にも交換不要とくれば、生臭の僕でもちょっとのネガには目をつぶってこいつをチョイスする。だから都会にお住まいでタイヤ交換が面倒、置く場所もないし…などというユーザーには自信を持ってお勧めできる。

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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