ヨコハマ ホットロッドカスタムショー2017(12月3日、パシフィコ横浜)のBMWモトラッド ジャパンのブース、もっとも目立つ場所に置いてあったのは『R5 Hommage(アールファイブ オマージュ』だ。
80年以上も前に発売された『R5』を再現しつつ、現代の技術も採り入れているから面白い。まず、排気量500ccの水平対向2気筒にはスーパーチャージャーがセットされ、カバー類やグリップエンドから伸びるレバーはアルミ削り出し、エキパイはステンレス製としている。
そしてサドルシートのレザーはエンボス加工で仕上げられ、ティアドロップタンクには手の込んだボカシ塗装を施した。単なる復元ではなく「Vintage Meets Custom」をテーマに、ヴィンテージと最新カスタムのエッセンスが融合しているのだ。
これを手がけたのは、ノレン兄弟(ベナさん&ロナさん)を中心としたスウェーデンのチーム。今回、ホットロッドカスタムショーのため来日した。
オーダーしたのはBMWモトラッドで、製作チームを率いたのは車両デザイン部門のオラ・ステネガルドさん。パーツ開発/製作および車両製作をベナ・ノレンさん(TOLLE Engineering代表)とロナ・ノレンさん(Unique Custom Cycles代表)が、ペイントデザインおよび塗装をホーカン・リンドバーグさんが担当した。
メーカーがカスタムビルダーに発注し、チームとして手を組むのは異例中の異例のこと。ロナ・ノレンさんはこう言う。
「ボクサーツインエンジンは『R5』を再構築したものですが、それ以外はほぼすべてを新たに作りなおした。オリジナルのディティールを再現しつつ、現代の技術でひとつずつパーツを丁寧に作りなおし、たいへんな作業でしたがエキサイティングでした。燃料タンクもすべてハンドメイドで、塗装も手が込んでいます」
美しいフレームワーク、ボクサーツインエンジンの圧倒的な存在感、エレガントな佇まい。時間を忘れて見とれてしまうものが、R5 オマージュにはある。それは誰の目にもあきらか、今回は、BEST MOTORCYCLE EUROPEANを受賞した。
BMWモトラッド ジャパンの広報担当者はこう言う。
「BMWの伝統を知っていただきたいという想い、そしてカスタムシーンにBMWがいつの時代にもあるという想いから始まったものです」
ホットロッドカスタムショーの会場には、他にも数多くのBMWがディスプレイされ、いずれもカスタムビルダーが時間と手間を惜しまず製作した精魂こもった作品たちである。