女子向け地図文房具のトレンドに驚がく事実…ゼンリンの開発担当女性社員が告白

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ゼンリンの福原さん(向かって左)と鈴木さん。
  • ゼンリンの福原さん(向かって左)と鈴木さん。
  • ゼンリン「mati mati」
  • mati matiシリーズではないが、企業や学校とのコラボグッズとしても展開がある。
  • ゼンリン「mati mati」3ポケット・クリアファイル:金沢
  • ゼンリン「mati mati」3ポケット・クリアファイル:東京丸の内
  • ハート型にメモを折った女子、誰ですか。先生怒りませんから。
  • ゼンリン「mati mati」MAP WRAP NOTEPAD
住宅地図やカーナビソフト、パソコン用地図ソフトなどを展開するゼンリン。その女性社員のアイデアで生まれた女子向け文房具「mati mati(マチマチ)」シリーズが、ちまたでウケているらしい。

スマホが普及し、地図はGoogleマップやYahoo!地図でサラッとチェックする時代。忘れ去られそうな文房具というアイテムに、なぜゼンリンが、自社の地図データを重ね合わせたのか---。

東京・御茶ノ水にあるゼンリン東京本社で中年記者を待っていたのは、入社10年目の福原菜美さん(事業企画本部 ビジネス企画部 チャネル企画課)と、入社2年目の鈴木貴子さん(同課)。

福原さんは入社後、営業、広報、マーケティングと経験し、商品企画部へ。鈴木さんは営業を経て今季、事業企画部へ配属された。鈴木さんは大学時代、地理学科に在籍し、新卒でゼンリンに入社。「地図業界は学生時代から身近な存在だった」という。

◆ガチガチな地図データを“女子的な柄”として着目

ゼンリンの地図というと、警察署や交番などにも常備してある住宅地図や、地道な地図情報の収集によるデータというカタいイメージ。そんな“ガチガチ資材”を福原さんたちはナナメからバサッと切った。

「道に迷わない道具としての地図、緻密で正確な地図データという意味での機能的な部分だけじゃじゃなくて、どこか懐かしくて美しい“柄”として楽しむプロダクトはないかと。そんな発想から、この mati mati の開発はスタートした」(福原さん)

ゼンリンの、緻密で膨大な地図データを「壁紙やソファなどのインテリアなどにも展開しようと考えている」(福原さん)というなか、なぜまず文房具だったのか。

「プライベートでもオフィスでも学校でも、文房具は共通のアイテム。20~30歳代の女性をターゲットとした場合、クリアファイルなど“面”で展開できる文房具がベストじゃないかと」(福原さん)

「さらに、京都に転勤する人、転校する人、入学する人などへのプレゼントなども想定した。“地図を贈る”というシーンをつくりだすときに、文房具が最もしっくりきた」(鈴木さん)

mati matiシリーズではないが、企業や学校とのコラボグッズとしても展開がある。
◆意外な購買層に「酒と中年」な街も女子向け展開の可能性!?

そうした発想からリサーチをすすめ、丸の内や表参道、吉祥寺というスポットが浮かび上がってきた。

「20代、30代の女性にとって、丸の内は働きたい場所。表参道、出かけたい場所。吉祥寺、住みたい場所だった」(鈴木さん)

ターゲットが注目するスポットに的を絞り、その街の空気や居心地を想起させるアイコンやカラーでバリエーション化していく。

だから、中年記者らが肩肘張らずに歩ける八重洲や亀戸、蒲田といった街は、商品化の検討枠に入るかはずがない。と、思ったら「実は意外なユーザーにも好評」と彼女たちはいう。

「50代や60代の地図好きにもウケている。“ブラタモリ的”な人たち。それからインバウンドにも好評なのは想定外だった。京都や金沢といった、自分たちが訪れたところをおみやげに買っていくひとが多い」(鈴木さん)

「もともと、居酒屋でのエピソードがアイデア時点であった。古地図などを眺めながら『オレの小学校はココにあってさ』とか、女性に語り始める。あっ、地図は居酒屋トークのツールにもなるんだ。と」(福原さん)

錦糸町や赤羽といった「酒と中年」の街も、女子向け文房具になるチャンスか!?

ハート型にメモを折った女子、誰ですか。先生怒りませんから。
◆世の中年たちが知らなかった、衝撃的な“常識”も…

そして、入社2年目の鈴木さんから、中年にとって衝撃的な“常識”を知らされる。「MAP WRAP NOTEPAD(B5幅のノートパッド)は、なぜ正方形に」という質問に、こう教えてくれた。

「折り紙にも使えるという発想から。中学生の高学年あたりでは、手紙交換が流行ってる。よく私もかわいい図柄の紙を正方形に切って、メッセージを書いて友だちに渡していた。そのとき、あまり柄のない紙だと、中の文字を見られたくないから、デコレーションしていた」(鈴木さん)

この“ほしかった柄”が、地図とマッチした。女子たちは、この正方形の地図ノートで、手紙を交換しあっているというのだ。

20代地図女子代表オーラが出まくる鈴木さんは、さらにこう続けた。

「地図が描かれたクリアファイルは、そのなかに入れるペーパーに、自分が行きたいお店や訪ねたショップ、感想、風景の印象などを落とし込んだイラストを描いていき、クリアファイルと重ね合わせることで自分だけの地図ができあがる。そういうファンが増えてきて、実際に送ってくれるひともいる」(鈴木さん)

世の中年たちが知らない、地図のトレンドをゼンリン本社で目の当たりにし、絶句。

◆女子的「この地図かわいい」で暮らしのなかに入り込む

こうした想定内と想定外の両実績をステップに、ゼンリン女子チームは次の一手を打ち始めている。

「さらに、暮らしのなかにゼンリンの地図を展開していきたい。クッション、カーペット、カーテンといったインテリアにも、『かわいい地図』は入り込める」(福原さん)

「また、中高年層にも、ゼンリンが持つ古い地図データなどをプロダクトに落とし込み、幅広い層に、“地図愛”を届けたい」(福原さん)

これだけスマホが普及し、GoogleマップやYahoo!地図が重宝する時代に、デジタル系は「太刀打ちできない競合相手じゃないか」と聞いたら、福原さんは「そうじゃない」と笑って、こう教えてくれた。

「デジタル地図が習慣化すればするほど、画面ではなく平面の紙や布、ファイルなどで地図を見る、手にするというコトが新鮮に見えてくる。真逆の競合じゃなくて、いっしょに新しい展開をする相手。ただの地図情報を超えて、“地図柄”が愛されるようになれば」(福原さん)


ゼンリンが金沢の地図で文房具をつくると!? 地図ステーショナリー「mati mati」
《大野雅人》

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