「ワインとハーレーは、古いほどいい」そんな言葉を耳にするほど、ハーレーは旧いモデルに価値がある。ビンテージハーレーは新車以上の値段で取引され、ファンは世界中に存在する。それはハーレーダビッドソンのエンジニアたちも熟知しており、ニューモデルにもクラシックテイストをふんだんに盛り込んでくる。たとえばこの2018年型『ソフテイルスリム』もそうだ。前後ホイールはトラディショナルなクロススポーク仕様で、ブレーキにはABSを備えているのにセンサーを外から見えないよう配慮した。ハンドルバーには剛性を高めるためのハンドルブレースが付いていて、これはまだ未舗装路が多かった時代のスタイル。燃料タンクにはキャップを2つ備えているが、実際に給油口があるのは右側だけで左側はダミー。これは分割タンク時代を再現している。そんな古めかしいタンクの上には、昔ながらな指針式の大径メーターが配置され、ターンシグナルの点灯を確認するインジケーターも「キャッツアイコンソール」と呼ばれる伝統的なデザインを採用。もちろん現代のオートバイだから、メーターはケーブル機械式ではなく電気信号式で、液晶画面をコッソリ内蔵し、そこに燃料計やシフトインジケーター、エンジン回転数や時計などあらゆる情報をしっかり表示する。極めつけはモノショックをシート下に隠して、1957年までのリアサスペンションを備えていなかった頃のシルエットを再現していることだ。リアサスペンションを持たないスタイルはリジッドフレームと呼ばれ、コアなファンにとても人気がある。マフラーのない車体左サイドから見ると、『ソフテイルスリム』もまたサスペンションは見当たらない。実際は高性能なショックアブソーバーを備えて快適な乗り心地を実現しているが、見た目はリジッドフレームというわけだ。他にも、排気量1745ccもあるVツインエンジンの鼓動を乗り手へダイレクトに伝えるため、緩衝のためのラバーパーツなしでダイレクトに搭載するなど、やることが大胆。走りの性能や、エンジン・車体の信頼性、耐久性は現代レベルにあるものの、クラシックであることをとことん楽しむ。それが『ソフテイルスリム』なのだ。■5つ星評価パワーソース:★★★★フットワーク:★★★コンフォート:★★★足着き:★★★★★オススメ度:★★★★青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
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