東西線「初」九段下駅に大開口ホームドア…東京メトロ、設置作業を公開

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九段下駅で行われたホームドアの設置作業。500kg以上あるホームドアを数人がかりで設置していた。
  • 九段下駅で行われたホームドアの設置作業。500kg以上あるホームドアを数人がかりで設置していた。
  • ホームの床にはあらかじめ設置穴が開けられ、実際の設置作業まではカバーでふさがれていた。
  • 営業終了後、カバーの取り外し作業が行われた。
  • ホームドアを積載した回送列車が到着。
  • ドアが開くと車内にホームドアの姿が。
  • 設置穴に取り付けられた絶縁体。
  • 線路閉鎖後に積み下ろし作業を開始。まずはロープを取り外す。
  • 重いホームドアを数人がかりで押し出す。
東京地下鉄(東京メトロ)は9月30日未明、九段下駅(東京都千代田区)の東西線ホームでホームドアの設置工事を報道陣に公開した。実証実験を除くと、東西線の駅にホームドアが設置されるのは初めて。2018年2月下旬にも使用を開始する。

今回公開されたのは、西船橋方面の列車が発着するA線ホームでの設置工事。作業は0時40分頃から始まり、まずはホーム床にあらかじめ開けておいた設置穴をふさぐカバーの取外し作業が行われた。

0時47分頃、中野方面から10両編成の回送列車(15000系電車第64編成)が姿を現した。この編成は前日の29日午前、行徳車両基地(千葉県市川市)でホームドアを積載。深夜に同基地を発車し、九段下~飯田橋間にある引込線まで走った。営業列車の運転終了後、折り返して九段下駅のA線ホームに進入。車内を見ると、可動ドア部を内部に収めたホームドアの戸袋部がロープに固定され、一列に並んでいた。

回送列車は停止後、すぐに全てのドアが開けられたが、積み下ろしの作業はなかなか始まらない。道路の通行止めに相当する「線路閉鎖」を行った上でないと線路内での作業を行うことができず、安全の確認に時間がかかるためだ。その間、作業員は設置穴に絶縁体を取り付けるなどホームでの準備作業を進めていた。

■中野側から西船橋側へ順番に設置

1時20分頃、ようやく線路閉鎖の確認が完了。いよいよホームドアの積み下ろしが始まった。作業は中野方先頭車(10号車)から西船橋方先頭車(1号車)へ進むようにして行われ、戸袋部を固定していたロープを除去していく。

戸袋部は列車へ積載時からキャスターが付いており、ちょっと押せば簡単に動きそうに見える。しかし、1台の重さは500~680kg。単位記号を変えれば0.5~0.68tで、慎重に動かさないと大事故になること間違いなしだ。車両ドアとホームの間には渡り板が敷かれ、数人がかりでゆっくりと戸袋部をホームに押し出していく。こうしてドア脇にある設置穴の手前に戸袋部が置かれた。

続いて戸袋部のキャスターを取り外し、設置穴が設けられた場所に置く作業になる。まずは戸袋部を持ち上げやすくする金具を取り付け、戸袋部の下に角材を敷いた上でゆっくりとキャスターを外して設置穴に下ろしていく。数人がかりとはいえ、0.5tもの物体を動かすのは相当な重労働だろう。

設置穴に置かれた戸袋部は、続いて金具の取り外しと固定作業が行われ、設置作業が完了。3時を少し過ぎた頃、回送列車がドアを閉め、西船橋方面へと走り去っていった。

ホーム上にずらりと並んだ戸袋部は、他の路線でよく見るタイプより幅が狭い。作業員が手動でドアを引き出すと、2段構造で長く伸びるドアが姿を表した。「大開口ホームドア」と呼ばれるもので、実証実験のためB線ホーム(中野方面)の一部に設置されたものとほぼ同じ仕様。有楽町線に設置された従来型ホームドアに比べ、開口部の幅が約1m広くなっている。

東西線の車両はドアの数こそ片側4カ所で統一されているが、位置は車両によって若干のズレがあり、15000系などドア幅が通常より広い「ワイドドア車」もある。このため、開口幅が広い大開口ホームドアを導入しないと対応できないのだ。

A線ホームに初発の営業列車がやってくるまで、あと2時間。十分な余裕をもって終了したかのように思えたが、作業はまだ終わっていない。ホームドアが列車にぶつからない位置(建築限界)にきちんと設置されたかどうか、確認しなければならない。回送列車の発車から10分ほどした後、確認作業が開始。中野方では測定機器が線路に置かれ、数人がかりで寸法をチェックしている様子が見えた。

今回はA線ホームでの作業だったが、B線ホームの設置工事も10月8日未明に行われる予定。実証実験用のホームドアは撤去して新しいものに交換する。当面はホームドアを使用せずに警備員を配置。配線工事や運転士・車掌の訓練などを行った上で、2018年2月下旬から使用を開始する予定だ。

■「1日でも早い設置を」前倒しに意欲

今年6月に東京メトロが発表した設置計画によると、丸ノ内線・有楽町線・南北線・副都心線は全駅で整備済み。銀座線は大規模改良工事を行っている一部の駅を除き、2018年度上期までに整備を完了させる。2019年度は千代田線で整備を完了し、日比谷線は2022年度、半蔵門線は2023年度に完了させる予定。東西線は2025年度に完了させ、これにより東京メトロ全駅でホームドアの設置を完了する予定だ。

作業の終了後、設置計画を担当した鉄道統括部計画課の井上篤史課長補佐は「6月の発表通りに進めていくが、工程の再精査を行って1日でも早い設置を目指していきたい」などと話し、設置計画の前倒しに意欲を示した。

一方、広報部広報課の阪本貴也課長補佐は「東京メトロでは新型車両や新施設の完成時などに報道公開を行ってきたが、今後は通常の仕事の姿もお見せできればと考えている。これにより我々の取組みへの理解を深めていただければと思う」などと述べ、同社のさまざまな業務について公開の場を積極的に設けていく方針を示した。
《草町義和》

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