今年で開業90周年…銀座線「特別仕様車」の特徴は?

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銀座線開業時の旧1000形をモチーフに外装をデザインた1000系だが、特別仕様車は内装も旧1000形のイメージでまとめられた。
  • 銀座線開業時の旧1000形をモチーフに外装をデザインた1000系だが、特別仕様車は内装も旧1000形のイメージでまとめられた。
  • 特別仕様車の車椅子スペース。壁は木目調だ。
  • 腰掛けの表地は緑色になった。
  • 優先席は赤色を採用している。
  • 手すりなどは真ちゅう色で装飾された。
  • つり革は「リコ式」を模したもの。バネは使っていない。
  • 旧1000形をイメージした内装だが、ドア上の車両案内装置は1000系量産車と同様に設置されている。
  • 銘板の車両番号は左書きだが、製造メーカー名などは右書きだ。
老朽化した従来車両の置換えを目的に開発された、銀座線の新型電車「1000系」。今年3月中旬には導入が完了する。

運行開始から大きな変更もなく順次増備されてきたが、最後に導入される12両(6両編成2本)は「特別仕様車」と銘打ち、内装などを大幅に変更。このほど特別仕様車の1編成目(第39編成)が完成し、1月17日から営業運転が始まる予定だ。

■きっかけはホームドア設置

1000系電車は2012年4月、最初の編成が運行を開始。老朽化した01系電車の置換えを目的とした新型車両で、当初は01系と同じ228両(6両編成38本)を製造する計画だった。しかし、銀座線でホームドアの設置が計画されたことから12両(6両編成2本)増やし、最終的には240両(6両編成40本)導入する計画に変わった。

ホームドアは利用者の転落防止に絶大な威力を発揮するが、その一方で運用上は安全確認などに時間がかかり、駅での停車時間が長くなりやすいという問題もある。停車時間が長くなれば全体の所要時間も長くなり、1編成で運行できる列車の本数が減る。このため、銀座線では編成数を増やして対応することになった。

当初の製造契約は6両編成38本だったため、編成数を増やすためには新たに契約を結ばなければならない。「新たに契約を結ぶなら違うものにしたい」(関係者)という機運が東京メトロ社内で高まり、追加分となる第39・40編成を特別仕様車として導入することになった。

一方、2017年12月30日に開業90周年を迎える銀座線では、「伝統と先端」をコンセプトにしたリニューアル事業が計画され、駅施設のリニューアル工事が現在進められている。1000系もリニューアル事業の一環といえる新型車両で、銀座線の開業時に導入された旧1000形電車を車体デザインのモチーフにしている。

こうしたことから、特別仕様車は銀座線の開業90周年記念車両と位置付けられ、旧1000形のイメージをさらに強調したデザインでまとめることになった。

■シル/ヘッダーはシールで再現

車体構造や走行装置など基本的な仕様は、これまで導入されてきた1000系の量産車と同じ。その一方、ヘッドライトは銀座線開業時の旧1000形にあわせて1灯式(量産車は2灯式)に変わり、テールライトの形状も旧1000形と同じにした。旧1000形をイメージした塗装も拡大し、窓枠や中柱などを「レモンイエロー」に、乗務員用ドアの握り棒などを真ちゅう色に変更。銀座線のラインカラーなどを表現した窓下の帯を省略した。

旧1000形など昔の鉄道車両には、窓の上下に車体強度を増すための補助板(ウインド・シル/ヘッダー)が設置されていたが、これも陰影の色を含んだシールを使って再現した。実際に板を張り付けることも考えられたようだが、板を張り付けるためには車体に穴をあけなければならず、シールでの表現となった。

比較的小幅な変更にとどまった外観に対し、車内は旧1000形のイメージを採り入れて大幅に変わった。壁は木目調で、荷物棚などは茶色に。手すりは真ちゅう色、床は赤茶色に変更されている。腰掛けの表地も旧1000形にあわせて緑色(優先席は赤色)にした。つり革は、旧1000形で採用されたつり手(リコ式)を模擬的に再現した。車両番号などを記した銘板も旧1000形の銘板を再現しており、製造者名と製造年は右書きになっている。

■「瞬間消灯」はコンピューター制御

天井の車内灯は調色機能付きのLEDを採用。通常の運行では蛍光色(4000K)で車内を照らすが、イベント運行時には電球色(2700K)に変えることも可能だ。このほか、「瞬間消灯」を再現するための「イベント用予備灯」も各車両の壁に設置された。これが「特別仕様車の目玉」(永井衆・車両部設計課長補佐)という。

銀座線では、線路が二手に分かれる場所(ポイント)などで電力供給用のレール(サードレール)が部分的に途切れるため、サードレールがない部分に差し掛かった車両は、車内照明が瞬間的に消灯。安全対策としてバッテリー電源の予備灯で車内を照らすようにしていた。この問題は1993年までに解消されたが、ある意味では「瞬間消灯」が銀座線の「名物」になっていたこともあり、特別仕様車ではイベント運行時などに「瞬間消灯」を再現できるよう、予備灯を設置したという。

現在の銀座線の車両は、サードレールが途切れる部分でも編成中の他の車両から電気が供給されるため、「瞬間消灯」は発生しない。このため、特別仕様車ではコンピューター制御によって「瞬間消灯」を行う。先頭車の集電装置がサードレールに触れていない状態になると、車両情報の管理装置がこれを検知。運行速度などの条件を基に、各車両がサードレールのない場所に差し掛かる時間を計算し、天井照明の消灯と予備灯の点灯を順番に行っていくという。
《草町義和》

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