【ダイハツ トール】2つのターゲットに贈る「ありがとうのクルマ」…開発者インタビュー

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ダイハツ トール の開発を主導した嶋村博次CE(チーフエンジニア)
  • ダイハツ トール の開発を主導した嶋村博次CE(チーフエンジニア)
  • 嶋村博次CE(チーフエンジニア)
  • ダイハツ トールカスタム(左)とトール(右)
  • ダイハツ トール
  • 子どもの目線にも入りやすい大型乗降用アシストグリップ
  • 紙パック飲料も入るドリンクホルダー
  • ダイハツ トール
  • ダイハツ トール

トヨタ『ルーミー』やスバル『ジャスティ』としてOEM供給するダイハツ『トール』。その想定ターゲットやコンセプト、利用シーン、ダイハツならではのアイテムなどについて、開発を取りまとめた同社 開発本部製品企画部 嶋村博次CE(チーフエンジニア)に聞いた。

◆2つのパパ・ママ ターゲット

「トール(THOR)は、『家族とのつながり』をテーマに開発。子育てファミリーの日常にジャストフィットするコンパクトファーストカーとして、ターゲットを大きく2つ想定した」。12月2日、東京で開いた試乗会で嶋村CEは冒頭、こう話し始めた。

「ひとつは、郊外に住む、若いけどこだわりがある30代前半のパパと、20代のママというファミリー。早婚で、いわゆる“マイルドヤンキー”などと呼ばれるパパ・ママ世代もこのターゲットに入る。ふたつめは、30代後半のパパと30代のママで、晩婚の世代」

◆郊外と都市、両スタイルに対応

このダイハツが想定する郊外型ファミリーのイメージとして「地元の仲間・家族を大切にする」「地元暮らしに満足感」「週末は近場のショッピングモール」「堂々迫力あるクルマがすき」などを、都市型ファミリーについては「堅実」「軽より少し大きいクルマ、実用性のあるクルマを望む」「週末は子どものサッカー応援」といった例をあげた。

また、こうした2つのファミリーには「スライドドア」「車高は高く床は低く」「広い室内」「余裕のあるパワー」「車内でくつろぎたい」といった共通するオーダーがあったという。

「そこで、ゆとりのある室内空間と取り回しの良さ、あらゆるシーンで対応する荷室・シート、家族に優しい工夫と思いやり装備、運転の楽しさと家族を守れる安心感、コンパクトなのに大きく見える堂々とした存在感のあるデザイン、などを突きつめた」

◆プロボックスの好評アイテムも

このトール/ルーミー/タンクには、フルフラットになるシートをはじめ、トレイ式デッキサイドトリムポケット&ホルダー、多機能デッキボードなど、車中泊やアウトドア、まとめ買いなどに便利な機能がふんだんに盛り込まれている。同社が受託製造するトヨタ『プロボックス』で「いいね」という声が多かった「紙パック飲料が収納可能な回転式カップホルダー」もついている。

「インパネとフロアの下には、容量5リットルの脱着式インパネセンター大型ボックスもつけた。プラ製ゴミ箱のイメージで脱着でき、汚れたら丸洗いもできる」

嶋村CEの業務用バンで培った“紙パック的アイデア”は、子育てファミリー向けコンパクトカーにも注がれる。

◆おばあちゃん&子ども目線

「このクルマに何が必要かとパーツを決めるんじゃなくて、クルマにかかわるシーンを想像してつくりこんだ。たとえば、スライドドア内側に設けた大型乗降用アシストグリップは、小さい子どもの目線の高さにもあわせている。子どもたちはスライドドアを開けると、目線の高さにある部分に手をつかんで『よいしょっ』ってよじ登るように乗り込む」

「おばあちゃんが乗るときもそう。そのグリップをにぎってゆっくりと乗り込む。その姿を運転者のママが横で見つめている。おばあちゃんはやっと座れて、『ありがとね』という。そう、このクルマは『ありがとう』をつくるクルマでもある」

ダイハツが描く「ありがとう」の舞台。その設計思想は、ダイハツらしい走行性能、居住性、パッケージング、デザインをはじめ、トヨタやスバルとの関係性、各販売会社のバランスなどにまでわたり、貫かれているという。

《聞き手:宮崎壮人 まとめ:大野雅人》

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