【新聞ウォッチ】燃費不正の余波…測定法の明確化や、エコカー減税対象車種の絞り込み

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【新聞ウォッチ】燃費不正の余波…測定法の明確化や、エコカー減税対象車種の絞り込み
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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2016年9月1日付

●概算要求101兆円台来年度(読売・1面)

●JX・東燃統合後に試練、17年4月で最終合意(読売・10面)

●愛車なが~く、各社が修復サービス(朝日・8面)

●円安103円台、1か月ぶり(毎日・6面)

●燃費最大10%悪化、三菱自、カタログ値を修正(毎日・7面)

●燃費測定法明確化へ、国交省が審査制度見直し(毎日・26面)

●きょう大規模震災訓練、国道4号10キロ、30分間通行止め(産経・27面)

●エコカー減税絞り込み、来春から、燃費基準厳しく、政府・与党検討(日経・1面)

●欧州に車載電池工場、サムスン系、370億円投資(日経・14面)

●ニュース一言、自工会二輪車特別委・柳委員長(日経・15面)

●ガソリン、10週ぶり上昇、店頭価格122.2円(日経・21面)

ひとくちコメント

きょうから9月。今年もあと4カ月といえば、何となく気ぜわしくなるいが、自動車業界を取り巻く2016年の10大ニュースを現時点でピックアップすれば、三菱自動車やスズキによる燃費データの不正問題が上位に入ることは間違いない。

このうち、三菱自は、軽自動車4車種以外の現行8車種でも、燃費性能がカタログ値を下回っていたという国土交通省の指摘を受けて、修正した値を提出したという。ただ、そうした燃費不正の問題は各社の測定方法の明確化やエコカー減税の見直しにまで及んでいるようだ。

きょうの毎日などが取り上げているが、国交省が自動車の量産・販売に必要な「型式指定」の審査制度見直しを検討する作業部会を開き、メーカー各社による燃費データの測定方法として、データの平均値を選ぶよう周知を図る方針を決めたという。

それによると、三菱自は軽自動車4車種の燃費偽装を公表した後、販売中の9車種の燃費を再測定。その際、一部の車種で往復60回も走行試験をしてデータを集め、その中から燃費計算に有利な数値だけを選んでいたという。

法令では、往復3回の走行試験の平均値を取るよう定めているが、試験を4回以上した場合、どの3回を選ぶかは明記されていない。このため、データのばらつきを抑えるという趣旨を強調し、厳密に平均値を取るよう求めるそうだ。

例えば、我々の定期健康診断でも、できるだけ数値をよくするために、健診日前は極力暴飲暴食を控えることもあるが、そうした数値が正しい健康状態かどうかはわからない。

つまり、法令違反ではないが三菱自は「いいとこ取り」をしたわけである。だが、これまで燃費値の虚偽申請を明確に禁じる条文はなかったため、道路運送車両法の省令を9月中に改正して明確化するそうだが、性善説に立って測定方法を曖昧にして見逃してきた国交省にも後ろめたさがあったからだろう。

一方で、きょうの日経が1面トップで報じているが、政府・与党は環境性能の高い自動車の取得や保有にかかる税を軽減するエコカー減税について、2017年春から対象車の燃費基準を厳しくする検討に入ったという。17年春に期限が切れる減税措置を2年以上延長する一方、対象車を絞り込んでより燃費性能の高い車の普及を促すそうだが、不正対策を徹底することを制度延長の前提とする狙いもあるようだ。

《福田俊之》

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