岡山国際サーキットで開催中の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)公式合同テストにおいて、いま現在最注目といえる5選手が初日(3月31日)の共同会見に出席。それぞれが今季に向けての目標等を話すなか、王者・石浦宏明は“浜島総監督効果”についても語ってくれた。
ランチブレイクに設けられた共同会見(サースデーミーティング)に集められたのは、注目選手揃いのSFのなかでも、今まさに、という5選手である。SF参戦2年目を迎えるF1表彰台経験者・小林可夢偉、昨年のSF最終戦第2レースで優勝したホンダのエース・山本尚貴、前回の鈴鹿公式合同テストでトップタイムをマークした中嶋大祐、昨季GP2王者で今季SF初参戦のストフェル・バンドーン、そして連覇を狙う2015年SF王者・石浦である。
それぞれに開幕前の最後の公式テストで万全の準備を図っている最中ではあるが、今シーズンの目標について5人はこう語っている。
小林可夢偉(#8 SUNOCO Team LeMans/トヨタ)
「もちろんチャンピオンが目標ですけど、まだ勝ってないので、まず1回勝つことが大事ですね。僕にとっては去年の経験が自信につながると思います。必要な経験とそうでない経験をうまく分けて考えることができている気がするので、1戦目からしっかりいい成績でいければな、と思います」。
山本尚貴(#16 TEAM 無限/ホンダ)
「目標は(3年ぶりに)タイトルを獲ることです。昨年まで鈴鹿では調子が良かったんですけど、他で勝てていないので、どのコースに行っても速く走れるよう、セットアップ面を含めて(いいところを)見つけていきたいですね。(新しいヨコハマ製)タイヤはもちろん、今季はいろんな要素が絡んでくると思うので、そのなかで取りこぼしなくいきたいです」。
中嶋大祐(#64 NAKAJIMA RACING/ホンダ)
「正直、今までは目標をいえるような資格がなかったんですけど、今は(チーム力がアップして)『目標は優勝です』といえる状態まで来たと思います。シリーズ順位が何位になるかとかはさておいて、まずはひとつ勝ちたいと思っています」。
S.バンドーン(#41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)
「今年は2017年に向けて(いろいろな意味で)準備の年だと思っています。マクラーレンとはいい関係にありますし、来年はF1に(レギュラーとして)デビューしたい。そのためにも今年はSFで自分にできる限りのことをして、できる限りの良い成績を得たいと考えています」。
石浦宏明(#1 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)
「今年もチャンピオン(連覇)を狙っていきますが、やっぱりセットアップやコンディションの読みが大切になりますね。去年はそのへんうまくいっていましたけど、今年はタイヤがかわったり、(レースウイークの)金曜に練習走行があったりで、読み方も変わってくると思います。とにかくワンミスで大きくポジションが下がるレースですし、(前回の鈴鹿)テストでもタイムがすごく僅差でしたよね。ただ、また一年を通じてそこで争えたらすごく楽しいな、とも思いました。スタートも良くしていきたいですね」。
(なお、F1マクラーレン・ホンダのリザーブドライバーであるバンドーンはSF岡山テストを初日で切り上げ、バーレーンGPへ向かった。これは当初から予定されたリザーブとしての役目のためで、彼が岡山を発った時点ではフェルナンド・アロンソのバーレーンGP欠場、バンドーンにF1実戦デビュー機会が訪れたことは確定していなかったと見られる。)
バンドーンは初岡山のテスト初日に4番手タイムを記録と、大器の片鱗らしきものを見せた。シーズンの台風の目と化す可能性は充分にありそうだ。2年目で本格的な王座獲りに挑む可夢偉、そして巻き返しを狙うホンダ勢の山本や大祐も虎視眈々で、ディフェンディングチャンピオンの石浦にとっては去年争ったTOM'S勢やIMPUL勢に加えて、強力対抗馬続々の状況である。
ただ、石浦が属するCERUMO・INGING陣営もさらなる体制強化を図っている。それは元ブリヂストン&元フェラーリで、最近はF1解説者としてもお馴染みの浜島裕英氏の総監督就任である(SUPER GTも含めての総監督)。
今年のSFはタイヤがブリヂストン製からヨコハマ製に切りかわるシーズンだけに、タイヤを知り尽くした人物の加入は大きいだろう。石浦はその効果を次のように語る。
「もちろんタイヤの知識は豊富ですし、タイヤ屋さん(ヨコハマのエンジニアたち)と直接コミュニケーションを(タイヤ屋さん同士の言葉で)とってくれますし、タイヤ側の目線から僕たちにアドバイスをもらえることもすごく助かっています。タイヤ以外にもチーム全体を見てもらっているわけですが、今までは気にしていなかったようなところも『完璧にしていかないといけないでしょう』と指摘してくれています。ピットワークの練習も『セッション中にもっとやろう』とか、組織として本当に細かいところを見ていただいていますね」。
浜島総監督効果で、もともと強固な体制をさらに盤石なものとし、石浦は全日本トップフォーミュラでは07~08年の松田次生以来となる連覇、そして昨季は果たせなかったSUPER GT/GT500クラスとの同時2冠という04年リチャード・ライアン以来の偉業にも挑んでゆく。